<上の画像はチャールズ・マンソンの髪の毛で作られた「ハンギング・マン」 指印付き1800ドル via Serial Killer Central>
以下「殺人記念品(マーダービリア)アート?それとも被害者いじめ?」を翻訳したい
米AOLニュース2010年2月に掲載された記事 筆者はDavid Lohr 原文
部屋を飾るため、美術品や記念品を買う人たちがいる。それらを投資の対象とする人たちも。
同様に、「murderabilia (マーダービリア)」として知られる特殊なアート市場にも、
アーティストとコレクターを仲介する業者が関わっている。
ふつうのアート市場との違いは、作品を産み出す作家達がたいていは刑務所の中にいることだ。
われらの時代のもっとも残忍、かつ病的な罪を犯したかどで。
<「ゲインズビルの殺人鬼」ダニー・ローリングが死刑執行寸前に描いた絵 >
ピカソの版画はたとえば10万ドルをくだらない。ルー・ ゲーリッグのサイン入りボールはおよそ1万ドルだ。
代わりにゲインズビルの殺人鬼ダニー・ローリングの描いた絵ならどうだろう?2千ドルで手に入る。
もしお気に召さなければ、チャールズ・マンソンのサイン入り運転免許証の写しは375ドル。
売り文句によれば「額装にぴったり!」
犯罪被害者とその支援者たちからの販売差し止め運動をよそに、マーダービリアの売上は近年に増した。
五指にあまる仲介業者たちが、その手のアイテムを数百もインターネットで広告している。
ロ サンジェルスのserialkillersink.netは連続殺人犯の記念品販売の分野で最高売上を誇るサイトのひとつだ。
サイト管理者はEric Gain。彼のこのゾッとしない趣味は、本人曰く15年前から始まったという。
「悪名高いシリアル・キラーに手紙を書きはじめた」 GainはAOLニュースに語る。「はじめは取材しようと思っていた」
「すぐに、ほんとうは本を書きたいわけじゃない、と気づいたよ。少なくとも、今のところはね」
「彼らと僕が築いた信頼。頑張って得たこの絆を大事にしたいと思った」
<Eric GainのFacebookより>
4 年ほど前から、Gainは彼の趣味をビジネスに活かしている。
「僕らの業務は単純に、若干の需要が見込めるであろう市場への供給だ」とGain。
「しじゅうテレビを賑わせている連続殺人犯たちが実際に残した作品や記念品を手元に持っていれば、
Investigation Discovery(人気犯罪実録番組)なんて見る必要はない。
言わせてもらえば、TVドキュメンタリーや犯罪実録本にくらべて、
連続殺人犯が自から残した物品の方が、彼らの内面をより正確に物語っていると思う」
<ショッ トガンを構えるEric Gain 詳細なインタビューはBeyond The Dark Horizonに >
10年以上にわたって、こういった「醜悪かつ卑劣な」商売を差し止めようと闘っているのは
強固なマーダービリア反対派であり、ヒューストン犯罪被害者の支援活動家、Andy Kahanだ。
「愛する誰かを殺した者にまつわる物品が、第三者によって、金儲けのためだけに売りまくられている。
犯罪被害者にしてみれば、これは吐き気と嫌悪以外の何ものをも引き起こさない事態だ」AOLニュースにKahanは語った。
「私は、政府の不干渉を旨とする自由企業の理念と、資本主義とを固く信じている」
「しかし強盗や強姦、殺人をしてはならないはずだ―翻って、そこから利益を出してはならない」
<Bravo Awardより 星条旗を背にしたAndy Kahan>
Kahanがマーダービリア販売反対運動に関わるようになったのは1999年、
収監中のNY連続殺人犯が自作の絵をeBayで売出したことが矯正局に発覚し、
特権を剥奪されたという記事を読んだのがきっかけだ。
「世界最大のオークションサイト、eBayで検索すると、
その手のアイテムが結局、数百も見つかった―シリアル・キラーの手紙から絵画までね」とKahan。
「たぶん多くの人と同じように、私も、この商売は違法に決まっていると考えた。
ありえないだろ?最悪の犯罪から、誰かが何がしかの収入を得られるなんて」
だがeBay広報部に連絡したKahanは実態を思い知ることになる。
「取引が合法である以上、eBayは道徳的にマーダービリアを取締れない。
出品物がいくら気に入らなかろうと、彼らは出品依頼を受ける義務がある。何とかしなくちゃ」
そこで彼は商品を自ら購入し、自らの手で破棄するようになった。
「連続殺人犯の髪だの爪だの服。彼らの描いた性的な、ポルノまがいの絵。何でもありだ」Kahanは付け加える。
「いくつかは捨てずに取ってある。のちの担当官への陳情の場で、私の説得力を大幅に上げるためにね」
<スティーブン・キング「IT」のモデル ジョ ン・ゲイシーの髑髏絵 YuppiePunkよ り>
2001年、eBayは以後マーダービリアを扱わないと発表した。
更新された「不快品禁止規定」には
「重大な暴力行為による有罪判決をくだされたユーザーが、その悪名から利益を得ようとした場合
(たとえ他者を通しても)ユーザーリストを削除し、アカウントを停止する」と追記された。
だがマーダービリア業者たちに動揺はない。それなら自身でオンライン・ショップを立ち上げるまでだ。
Kahan の闘いは結果として立法府へと及ぶ。
「彼らを出し抜く法律をつくりはじめた。現在8つの州で新法が通過している。いわゆる「悪名利潤禁止法」だ」
しかし州をまたいだ商取引に州法は及ばない。連邦法を改定しなければ。
Kahanはテキサス上院議員John Cornynと共に、マーダービリア販売禁止法案1528条を作成する。
この法案は囚人に利潤をもたらす物品の郵便配送をアメリカ全土で禁ずるというもの。
当初、下院議員Dave Reichertに取り上げられたが以後進展がない。
「公聴会ひとつ開かれない。理解出来ないよ。意見調整の機会すら与えられないんだ」とKahan。
「はっきりいおう。理由は民主党の支持が得られないこと、それで膠着状態さ」
マーダービリア販売禁止法は目下「瀕死の状態」だ、とKahanは語った。
<「コー スト・トゥ・コースト・キラー」Tommy Lynn Sells作 manson family picnicより >
いっぽう、Gainは彼の商品が何故 Kahanらをこれほど怒らせるのかわからない。
「セレブやスポーツ選手なんかのサインを集めるのと同じだよ」とGain。
「彼らへの批判さえ、さらなる作品制作への原動力になりうる 」
「もし、連続殺人犯が絶対に二度と刑務所から出られない、と安心したいなら、
仮釈放の日程前に審査委員会に手紙を書くことだ」
「被害者家族達には同情する。でも同時に、法に則った商売を営む権利が僕にはあるんだよ・・。
あくまで僕らの利益のために。受刑者のためじゃない」
マーダービリアのコレクター、Joe HilesもGainに賛成だ。
Joeはシリアル・キラーの専門サイト、skcentral.comの管理人でもある。
「僕がこういった物を集めるのは、これらを歴史の証言と見ているからだ」とJoe Hiles。
「病的で陰惨な歴史かもしれない。それでもなお、これは歴史なんだ。
半世紀後、人々はAnthony Sowellという名を聞くとクリーブランドの、
David BerkowitzといえばNYの歴史を思い出すだろう。
もちろん、ただ古きよき日々としてでなく。でも、それだって歴史なのさ」
<「パリの吸血鬼」Nicolas Clauxが己の血で綴った色紙「アイ・ヘイト・ピープル」
仮釈放成って現在はシリアル・キラー・カレンダーの作者として有名>
MURDERAUCTION.COMより
*以下余談
上の動画「Murderabilia Pt 1 」 で
Kahan(とスタジオにいる全員)に「歴史の証言」コレクターJoe Hilesがとっちめられているところが見られる
叩く側叩かれる側 顔つき物腰あまりに典型的で嬉しくなっちゃう公開リンチ映像であります その2
*TVでゲストを「変態」と呼んで憚らない司会者はJohn Walsh
ちょっと「おもいッきりテレビ」みのもんたを思わせる 世界的にはWalshのほうがずっと有名でしょう
高圧的な彼の態度にはワケがある その因縁を以下かんたんに解説する 詳しくはアメリカTV/映画ノーツを参照のこと
momlogicより John Walsh
John Walshはもとフロリダでホテル経営をしていた富裕層
1981年、36歳のときにショッピングモールで息子(8歳)を誘拐されてしまう
シアーズのゲーム売り場で7分間目を離したすきに消え失せた愛児の頭は2週間後、浜辺で見つかった
体の残りは見つからなかった
Hyaena Galleryより Ottis Toole
罪のない8つの子をさらって首を斬り落とした、と自白した男はOttis Toole 数件の殺人放火容疑で収監中の身
だが、のちに証言を覆し捜査を混乱させ「容疑者」のまま肝臓を病んで獄中死した
フロリダ警察はTooleの死後かれを犯人と断定し、初動捜査の遅れを謝罪した 2008年 犯行からじつに27年後だ
(Tooleの絵も勿論マーダービリアとして売られている いくつかはFlickr でも見られるよ)
全米一有名になってしまった被害者の親、John Walshは虐待行方不明児問題に取り組むNPOでも知られるようになる
息子の悲劇をもとに撮られた2本のTV映画、NCMEC(全米行方不明/被搾取児童センター)の理事就任、
ついにはホワイトハウスの招待を受けるところまで昇りつめる
(NCMECの活動はアンバーアラートや児童ポルノ法関連で御存知の読者もいるでしょう)
88年、WalshはFOXテレビ「America's Most Wanted」の司会に抜擢された
TV越しに視聴者と連携し、現在逃走中の犯罪者を追いつめるという企画が当たって今も続くFOX最長寿看板番組
この番組の情報提供によって捕まった逃走犯は2010年7月の時点で1121人という
*ところでFOXテレビといえば共和党寄り保守層扇動で悪名高い会社 (参考ドキュメンタリー「Outfoxed」 You Tube日本語版全編)
こと「表現の自由」に関しては、リベラルの多いネット・ユーザーと水が合わない
さいごに、彼らマーダービリア擁護派からJohn Walshへの批判を紹介したい Wikipediaの頁頭に記されている文より
「FOX テレビが協賛し、Walshその人が共同経営者であるところの国立犯罪・刑罰博物館のアトラクションでは |
*アマゾンは僕から超おすすめのシリアル・キラー・ストーリー
(ところでこの記事に貼られたアフィリエイト、マーダービリアとどう違う)
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「好きになった」メモ: 「こんなものはアートじゃない」と言う前に
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