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2011年9月10日土曜日

僕が僕であるために頭脳警察を粉砕せよ!フロイト精神分析発大衆操作プロパガンダの歴史ドキュメント「自我の世紀(3)」



2002年BBC放映の名作ドキュメンタリー「自我の世紀」第3部
日本語翻訳版をつくりました (第1部&第2部) (ダウンロード) (YouTubeで見る) 
監督アダム・カーティス 原題は 「Century Of Self3-
There is a Policeman Inside All Our Heads: He Must Be Destroyed(頭脳警察を粉砕せよ)」


フロイトの無意識理論がいかに大衆操作に利用されたかを辿るドキュメンタリー
今回第3部は米60年代の「自我の解放」「自分探し」ブームが
企業社会や政界にとりこまれていく過程を追います シリーズ白眉はこの回と思われる
これだけ見ても最高に面白い 御用のない方60分つくって上の動画を是非ご覧あれ

以下は解説を兼ねた訳者の自分語り 



*友達と縁を切ったことがある 
「もう来ないで欲しい」と部屋から追い出したことがある 
20年も前の話だ



わたしたちはアマチュアのロックバンドをやっていて
河原や公民館で週に何度か練習をする仲だった 
以前は車で夜の首都高をぐるぐる回ったり
闇に紛れプールに忍んで泳いだり
もっと前は学校帰り誰かの家に集まって
ファミコンで遊んだりする4人組だった



4人で付き合った期間は5年くらいだろうか 
5年のあいだに2人が童貞を捨て、2人が職を得、2人が車を買った 
1人暮らしをはじめたのは俺が最初だった

車やゲームに特に興味を持てなかった自分はしかし、
作詞作曲には夢中になった
今こうしてインターネットに書き込んでるのと変わらない
「何もかもうんざり」「あんな女殺してやる」とかいう唄を闇雲に叫び
己の憂さを表せる、その遊びにシビれ取り憑かれた



病高じてかれら3人ともう1人、当時付き合っていた女に
わたしは声をかけ
90年代はじめのバンドブームが終わりかけていた頃に
ロックバンドを結成したというわけだ
「ドラムなんてやったことないよ」大丈夫、なんとかなるよ
「100万ボルト」という名を付けた 巧くなったらライブをしよう
俺達は有名になるだろう

男4人は低偏差値の高校出身で、進学した者はいない
軽音楽部なんてなものと無縁なため、
他の素人バンドをまるで知らなかった 



はじめてのライブ 
舞台で俺のギターの調律がずれて20分ほど立ち往生し、
年上の対バンに哂われた 「チューニングも出来ねえのかよ」
今なら笑い話だが、18の俺は深刻に落ち込んだ 

熱の冷めた練習に集まるのは自分と(人のいい)彼女だけ、という日々 



彼らはバンドがやりたいんじゃなく、
ただ寂しいから何となく集まっている
スノーボードでもツーリングでも下町食べあるきでも 
楽しいイベントなら何でもかまわないのではないか?
最近聴いたCDや本や映画を夢中になって説く俺に、
彼らの興味は仲間内の噂話ばかりに思えた

何故こんな狭い場所で満足できるんだろう?



押し付けがましい己に気づかぬまま
手前勝手な依存心に不満は募るばかり
「こーんなことも知らないの」と女にあたり
「つまんねぇ」「馬鹿ばっかり」と独りごちる 

そんな折、彼ら4人が久しぶりに訪ねてきた
「バンドはもう楽しくない それだけなんだ」
「でも、お前とは友達でいたい」
きみたち陰でお互い悪口を言い合ってるじゃないか
何でわざわざ見下してる奴と付き合うんだ?云々
別れ話めいたやりとりのうちに一人がこう言った
「でも、お前はお前だろ」「俺は俺だし」
「自分は自分だから」



????そうか?本当に「俺は俺」なんだろうか?
俺は俺じゃないんじゃないか?
少なくとも誰かに「自分は自分」と宣言できるような、
宣言せざるを得ないような何かが、俺にあるだろうか?
何もない



*高校中退自称物知り 
理屈は一人前だが歌は下手 ギターの調律も満足にできない
世間が怖くてバイトが続かず親の仕送りを当てにしていた俺は
そろそろ19歳になろうとしていた

「サブカル青年」というライフスタイル勃興寸前にウヨウヨいた
典型的なバブル期「個性の時代」の若者だ



自分で自分が嫌でしょうがなかった俺は、
彼らが嫌でしょうがなくなった  馬鹿な自分を見ているように思えた
何も出来ないのに一人前の顔をして
本心では見下している他人の顔色ばかり伺って
尊敬されたくて、愛されたくて、目立ちたくてたまんないくせに
仲間からの逸脱を極度に恐れている



だがその上で
「自分は自分」?世間知らずのガキが何言ってやがる阿呆、
とはやはり思わなかったね 嗚呼バブルの時代
ボクも確固たる「自分」てのが欲しかったのです 喉から手が出るほど欲しかった
ひとりぼっちでも平気な強い「個」が欲しかった





*というわけで彼らと縁を切った後、俺の自分探しが始まる 
つっても貧乏だし本を読むだけだ 
まず頭が良くなりたいとヒッピーの宗教本を読み漁った 
ジェリー・ガルシア「自分の生き方をさがしている人のために
ラジニーシグルジェフカスタネダアラン・ワッツニーチェ鈴木大拙
コリン・ウィルソン岸田秀橋本治に辿り着いたあたりで大学進学を決めた



上の映像「自我の世紀3」に出てくる
ジェリー・ルービン「Do It!」も ライヒ「きけ小人物よ!」も
当時は好きで読んでいた
だからこの「個性の時代」の愚を描いたドキュメンタリーには耳が痛い
自分のことを言われているようだから



*大学を出てのち バンドやってるんです、と職場で言った折、
先輩から忠告を受けた

「ライブも機材も金かかるでしょー
成功できるのは一握り でもバンド、流行ってる 
やってる奴たくさんいるよね
ヒサミチくん今のうちに宗旨替えして
楽器屋やスタジオ、プロモーターやったらどうよ?」

「『砂金が出る!』と西海岸にゴールドラッシュが起こった時、
貧乏人達がおおぜい一攫千金の夢追って西部に押し寄せた
大ブームの過ぎたあと、一番儲けたのは誰だと思う?」

「砂金採掘機材製造会社 砂金採りを迎えた売春サービス業、
インフラ担う鉄道会社と建設会社 新しい町を治め税金吸い取るヤクザと政治家だよ 
川に砂金を探して儲かった奴なんてひとりもいない」


この映像「自我の世紀」第3部が伝えるのは、基本的にはこういう構図だ



だが、砂金探しの欲ぼけアメリカ人に比べ
100年後の我々「自分探し」世代が更にずっと幼稚に見えるのは
扱う商品「万能感」ゆえだろう この映像の「自我」とはこれを飾った物言いに過ぎない

何しろこの商品「自我」の魅力をアピールするのに根拠はいらない
ただ自分を信じればいい あなたに眠っている個性を信じればいい
信じれば夢は叶うのだ 無限にひろがる未来の可能性を信じればいい

こうしてコンサルタントやセミナー業者、自己啓発本の煽る万能感に頭をヤられ 
さんざ幼児退行を起こした末に夢から醒めて
騙された!金返せ!ト文句をつける者がいるだろうか 
「自己確立」はいまや懐かし「自己責任」と表裏一体なのだからして





*ところで
このドキュメンタリー「自我の世紀」シリーズ全般にわたって
でもそれの、大衆操作の何が悪いの?て疑問も、ある読者にはあると思う

ゴールドラッシュの喩えで言おう
荒地にインフラ敷いて雇用を産み出し豊かな社会が作れるならば
火種が幻想だろうと何だろうとかまわないではないか?  
繁栄を招く原動力はいつだって若く向こう見ずな欲望だ
売り手と買い手、詐欺師とカモ、両者揃って資本主義の基本じゃないか?



しかし待て
採れた砂金を町に持ち帰れば女が買えた酒が飲めた人を雇えた更なる投資に回すこともできた 
翻って 自我の万能感は何になる?
「自分は自分」の念仏じみた流行思想は、
けっきょく我々をバラバラに分断しただけではないか 

神や伝統の軛(たとえば純潔修道院)から解放され、
出自のもたらす視野狭窄(たとえば過激な反差別闘争)から自由になって
次は家族制度の破壊に向かうだろうこの「自我の世紀」のニヒリズムを支えるのは、宿命なき時代の不信感だ

「自分を信じて」「夢を信じて」「その気持を信じて」J-POPが繰り返すのは
移ろいやすい己の心の外側に 信じられるものがもはや何もないからだろう



いや信頼どころか考えてみりゃ
旧社会から「自由に」「解放された」我々にはもう、愛も憎しみもいらない 
だって「自分らしく生きる」ためには究極のところ、
己を制限し影響を及ぼしてくるカンケーねー他人などタダ煩いだけじゃないですか 

ひとりひとりが自己創造のアーティスト、相互プロパガンダの御時世に望まれる他者は
ファン、信者、取り巻きパトロン「操作の対象」のみでありましょう

そんなことないって?オヤオヤ読者よ 
そりゃーアンタの見方でしょ アンタはアンタ、俺は俺でしょ




*ひとりぼっちでも平気な強い「個」になりたかった私は、
こうして「個」の寂しさ、情けなさに思い至る

かけがえのない、特別な、たった一つのもの、最後には信じるしかないもの、
「自分」という楽園に辿り着いた、または檻に立て篭もった結果が
われわれ自己顕示欲、承認欲求をつのらせるばかり

バンドで売れたいネットで名を挙げたいインタビュー受けてチヤホヤされたい
「歌ってみた」「踊ってみた」「描いてみた」「モノマネに挑戦」
IT革命に背を押され、銭の入るあてもない素人芸がこれほど興隆をきたすのは
見物を笑わせたい泣かせたいふりむかせたい大衆感情を操作したい、と
大衆個々が考えるようになった証にみえる



*以上 悪態を並べたが

もし筆者がもう一度、生まれ変わって人生をやりなおせるとしたら
しかしやっぱりバンドを組むだろう 長文ブログを書くだろう 「自分探し」の旅に出るだろう 
芸事なくして生きる理由はない 誰かに思いを届けたい 阿呆だらけの世間に我慢出来ない
賞賛されたい目立ちたい 君の心を操作したい 心の底から愛されたい
生涯会うこともないだろう人にまで自分を知ってもらいたい

200年前の社会なら俺は一種の狂人だろう 
でも今こんな人 どこにでもいるよね



*「自分探し」ブームに湧いた好景気はとっくに過ぎた
今は 百万人単位のニートひきこもりが
「社会適応成功者」月給取りを妬み羨むような、自信のない時代だ

ひきこもりには用事がない そもそも気をつかう相手がいない
カンケーねぇー他人やうるせぇ上司や教師から
社会の圧力から もっとも「自由に」「解放された」層が、自分で自分を閉じ込めて
もっとも後ろめたさを感じているような時代が いつまで続くのかはわからない



以下はおすすめ参考書籍音源リンク
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シンデレラボーイシンデレラガールDo it!―革命のシナリオフォー・ビギナーズ・シリーズ 52 ライヒ(翻訳版)
頭脳警察 1Freak Out


好きになった:誰もがスター

2011年1月24日月曜日

フロイト精神分析発「電通の陰謀」行 大衆操作プロパガンダの歴史ドキュメント「自我の世紀(1)」を見てください



聴くだけで乳が膨らむ彼女が出来るハゲにふさふさ毛が生える、奇跡の着うたあったでしょう
1週間で1万回ダウンロードされたという
アレつくったひと、「営業は『洗脳』「洗脳護身術」「夢をかなえる洗脳力」の著者は
自ら脱洗脳したオウム・シスターズの一人と結婚したってきいた 

まじめなはなし、奥さん不安にならないのかね 嫌だアタシまた洗脳されてるんじゃないかしら 
気づかず洗われるよりマシか



窓のないオウム真理教団施設では飲み物にLSDだのシャブだのまぜて
信者のハートを掴んでいたと聞くがそれだとずいぶん費用がかさむ 普通の御家庭では試せません 
その御家庭での神信心、しつけもこのごろ洗脳と呼ばれたりしてる ソフトなやつがマインドコントロール 
つまりは知らせず朱に交わらせる、無意識理に同意を即す、との意味らしい 
具体的にどうなの?と調べても効果の程がよくわからない ノリのいい人ってどこにでもいるしな

我々しょせんが寂しい獣で放っておいても同意を求める ね?
同意できないなら出て行け帰れ、と新参に発破をかけたあげく
じっさい帰られた上司が思わず漏らす「ゆとり世代は理解不能」 洗脳失敗の巻である 


どうしてそんなに洗脳したいか、といえばそれはもう話が早いから、に尽きますね 
いいから黙ってついてこい、世間をナメるなそういうもんだ、で押し切れる 

以心伝心言葉のいらない世界に住みたい これが我々の究極の欲望で、
それは無理だからなるたけコミュニケーションを削りたい?みたいな?
四の五の言わずと熱燗だのもつ焼きだのパッと出てくればいいじゃないですか 
馴染みの店なら「いつもの」一言で出てきて欲しいじゃないですか いますぐに!一秒で!一瞬で! 


ただの呑み屋と常客ならそう害ないところ
対手が部下だと途端にややこしくなる 「人心操作」のニュアンスを帯びる 
これでスケール広がってテキが群衆、消費者国民ならなおさらであります 

舌先三寸のマニフェストに踊り操られたのが愚民なら
支持率低下に焦り人気取りに励む大臣だってポピュリズムに操られてる 
馬鹿はお互い様、とはしかし、マジメな人は思わない


「人の心を動かすコツ」みたいな新書にグイグイ蛍光線を引っ張る我々善良な大衆も
すでに知らず遠くの誰かをささやかに操っていたりする 
2chでツイッターでデマ拡散したり 「また電通の陰謀か」論説に「イイネ!」クリックで一票いれたり

情報支配一極集中が不能の21世紀に「プロパガンダ」は空気の如くありふれたものとなった


そんなら「洗脳」のいまだおどろおどろしい響きはどこからやってくるんだろう 
「知らず騙されるのは嫌だけど、わかってて選んでる、大丈夫だ」 
その「大丈夫」ホントに大丈夫?との鏡地獄から逃れられない そういうことではないだろうか 

「洗脳」「マインドコントロール」の前提にある発想、「無意識」の浸け込む余地がここにある 
あなたの知らないもう一人のあなたが鏡の向こうで笑う 
景気のよかった頃の「自分探し」は今サイコホラーの題材だ 
言えなかったこと言いそびれたこと言い残したことが
マスクを被って暗いクローゼットのなか包丁片手に息を潜めている あなたの帰りを待っている 
やにわに組み敷かれ首を締められて抗ったあげくマスクを剥げばその顔は、まごうかたなきあなたの顔
「こんなはずじゃなかったのに!」「こんなはずじゃなかったのに!」

なんぞという


前置き少々長くなった

今日紹介したいのはホラーじゃない、が、ある意味もっとヤな映像

ここ数年で一番面白かったドキュメンタリー
BBC2002年放映「自我の世紀 Century Of Self」第一部
「ハピネス・マシーン」の日本語字幕版を作りました



監督アダム・カーティスAdam Curtisは20年を超すキャリアの持ち主で、
この四部映像「Century Of Self」はかれの代表作




自我の世紀 Century Of Self」は
無意識」を発見したフロイトの精神分析理論が、いかに大衆操作に使われてきたか、を検証する歴史ドキュメント
第一部はフロイトの甥、天才PRマン、エドワード・バーネイズの話が中心となる
戦時プロパガンダを大量生産品の宣伝に応用し、「PR(パブリック・リレーションズ)」という言葉を世界に広めた男



宣伝の魔術師が財界の大物に成り上がり、ニューディール政策下のアメリカ政府と対立するまでの60分です
そもそもヒステリー強迫観念に悩まされていた弱者を救うための精神分析理論が、
「愚かな大衆」をカモり大人しくさせておくための操作法として利用される歴史の皮肉が見所だ




シリーズ「自我の世紀」を貫くテーマ「民主主義は可能か?」は「我々は信じあえるのか?」と言い換えられる 
政府と国民は、大企業と消費者は、マスコミと読者視聴者は、 
精神分析医と患者は、ドキュメンタリーとそれ見てる君とは、
結局のところ、信じあえるのか?


信じられない、情報が足りない、隠された真実を追求すべし、と
陰謀論にハマっていく人もいる
「全てプロパガンダに過ぎない」「裏に黒幕がいる筈だ」と
唱える我々はつまり、誰かに騙されたくないのだ 
知らないことで損ばかりしてきたから   
どうして今までみんな教えてくれなかったんだ、と、世の理不尽に憤ってきたからだ


だが、このドキュメンタリー、真の主役のその「誰か」はフロイト一家ではない
大統領でも財界の大物でもない 歴史を動かすのは「大衆社会」という風潮だ

この世からプロパガンダが消えることはない」とバーネイズは書いている
「女性も教師も学校も、プロパガンダを行うべきだ」と

「自我の世紀Century Of Self(2002)パート1」をダウンロード
パート2パート3)(YouTube)

(この日本語版映像はDenver Open Mediaのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに則って作成されています) (たぶん)

下の画像はおすすめ参考書籍類 クリックでAmazonに飛びます
長谷川三千子ものぐさ精神分析大衆の反逆バーネイズ
フロイト先生のウソ精神分析

2010年9月3日金曜日

ペドフィリア収容所 ―小児性虐待者は治せるか 米精神病院レポート

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「OK、マジではっきりさせておこう。カメラの前で言っておく」
キッチン氏は吐き捨てるように誓う。
「今では子供に魅力を感じない。愛情欲しさに子供を捜しまわったり、
子供達とセックスしたいとは思わない。これでいいか?」

*英放送局BBC News、2009年4月の記事
Where they keep the paedophiles」を紹介したい

これ未成年強姦魔や小児猥褻犯ばかりを強制収容しているカリフォルニアの精神病院を取材したレポートで、
同時期に放映されたTVドキュメンタリー番組「A place for Paedophiles」の解説文としても読めます
が映像よりレポのほうが面白い 

You Tube (英語:英字幕は右下の「cc」をクリック→音声を文字に変換→OKクリックで出現)
児童ポルノ規制でケンケンガクガク大騒ぎしてるわが邦ネット界ではしかし、ワリカシ知られていない話?じゃないかナ?

以下全訳する 誤訳指摘よろしく  原文_45673983_theroux_blur_bbc_226



カリフォルニア州、小児性虐待の再犯者たちは、快適な精神病院へと収監され、
一般社会とは無期限に隔離される。 しかし、これが問題の解決となるだろうか?
ルイ・セロー(Louis Theroux)は語る。

*「この絵はいったいどういうこと?」

Coalinga精神病院で数日を過ごした際、リグビー氏にかれの宿舎を見せてもらった。
ハイ・スクールの体育教師だった人だ。生徒への強制猥褻で有罪判決を受けるまでは。
「こと男の肉体美にかけちゃ、私は目利きだよ」と彼。e40bcd205b3954276442258159388ad3

案内された部屋の壁には男の裸をかたどった古典彫像写真が飾られていた。目が点になったね。
古代ギリシャの名高い男色礼賛趣味を盾に、
己の性癖を正当化するペドフィリア(小児性愛者)の存在は知っていたから。

壁にはバレエ・ダンサーの若い男たちを描いた複製画もある。はっきり性的な含みをもった絵だ。
性犯罪者の治療施設で、患者が自室をやや性的なポスターで飾るのはOKなんだろうか?
僕からすれば、とうぜん規則違反に思えるけれど。 95c89f320933c54b3765aeb746bc419a

一緒に居た、リグビー氏担当ソーシャル・ワーカーはこう答えた。
「彼も子供じゃないからね」



リグビー氏は4人の相部屋に住んでいる。広々して風通しよく、大きな窓に鉄格子はない。
既婚者のかれには子供が2人。
でもここCoalingaでまた別の男と肉体関係を続けているという。その相手も小児わいせつ犯だ。
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*居心地のいい収容所


そういったリグビー氏の性生活もまた、この精神病院では許されているらしい。
セラピストの言うに、かれのリハビリは順調だ。
カウンセリングとグループ・セッションを受け続ければ、理屈では、一年もしないうちに社会復帰できる。

Coalinga病院でおどろいたことのひとつ。
およそ800人の性犯罪者が集められ住むこの施設は、実に居心地がいい。
開かれて広い室内エリア―ショッピング・モールと似ていることから「モール」と呼ばれる―には、
床屋や喫茶店、小さな図書館が用意されている。
テニスコート、エクササイズ機器、設備の整った体育館には音楽が鳴り響く。
アート・セラピークラスに立ち寄ったり、試聴室へと足を向ける患者たち。
大体のところ、豪華な全寮制の新築校舎を思い浮かべれば間違いない。

しかしCoalingaが学校と全く違うのは、
ここがカリフォルニアで深刻化している小児へのわいせつ犯や強姦犯たちを
最高級の保安設備で閉じ込めている病院施設、という点だ。

釈放された性犯罪者たちへの社会不安に応えた新政策。
その主力施設がCoalinga精神病院なのだ。

Coalingaの住民たちは全員、刑期をすでに終えている。
だが、精神病と診断された者たちをそのまま社会に解放するかわり、
もう一度監禁することが可能となった。―こんどは無期限に。刑務所でなく病院の中に、だ。



*閉じ込められた「ミスター」たち

Coalingaの快適な環境は政策の一環だ。ここは処罰のための施設ではない。
患者たちはすでに刑務所で刑期を済ませている。
病院の趣旨はあくまでも、かれらの精神的健康の回復だ。

ある意味、この種の公的抑留施設は、当局が見出した法の抜け道なのだ。
「性犯罪者を長期にわたって隔離すべき」と人々が行政に対し要求した結果だ。

すでに判決ずみ、刑期を務めた元受刑者を
なお閉じ込めるには「入院」の一手しか術がない。
そこで患者たちは「性暴力の捕食者(Predator)」として、
カリフォルニアから法的に類別され、
高い鉄条網のフェンス内に閉じ込められる。


しかしその一方、折りにふれ、度が過ぎるほど、彼らは丁重に扱われている。

「患者」は卑屈な言葉とされ、拘留者は「いち個人」として扱われる。
会話に彼らの名をあげる際、職員たちは「ミスター」をつけて呼ぶ。
誰もここからは出られない。が、他の規則は驚くほど寛大だ。患者は選挙に投票できる。
―病院規則への抗議のしるしに己の足指を切り落とした精神異常の強姦犯。かれはオバマに入れたという。

彼らはここでポルノを見られる。子供の登場するTV番組やレンタルDVDの視聴には何の禁則もない。

病院では、健康的な雰囲気作りのため定期的にイベントが催されている。
お招きに預かったハロウィン・パーティの晩、私はシュールな光景を目の当たりにした。
15人あまりの性犯罪者たちが「アダムス・ファミリー」の主題歌を歌っていたのだ
来週のタレント・ショウにむけて―チラシに曰く「Coalingaのアイドルを探せ」



*小児性愛は「治療不能」

恐怖や不安、依存をセラピーで乗り越えよう
だがセラピストやソーシャル・ワーカーたちの割り切った仕事ぶりは、患者たちの意識と全くかみあっていない。

そもそもペドフィリアの傾向要因は遺伝かはたまた環境か、意見はバラバラで一致しない。
にもかかわらず、Coalingaのセラピストたちは口を揃えて言う。「小児性愛という病は全治不可能だ」
患者が子供に性的欲望を抱くのは、一種の「社会的順応」と思われる徴候があり、
いわゆる「正常愛」へのリプログラミングはむつかしいという。


セラピーに参加した患者は、計画に沿ったグループ・ミーティングとカウンセリングを繰り返す。
―アルコール依存脱出プログラムのように。
プログラムの初期段階で、彼らは己の性犯罪を、警察には告げなかったことまでも含め、全て詳細に報告する。
被害者への共感を学ぶのだ。
患者は心に浮かぶ思念を観察し、病的な夢想を追い払う術を学び、
セラピストは患者の「認知の歪み」や「じつは子供は大人とセックスしたいのだ」などという妄想と戦うこととなる。9e563591b18849411b3c855220327ece

患者たちは嘘発見器に加え、プレスチモグラフと呼ばれるセクシャル・テストをうけている。
被験者のペニスに器具を取り付けて様々な画像を見せ、勃起率から興奮度を測るものだ。



*自己去勢して人格改良

プレスチモグラフに使われる画像には18禁ポルノもある。
暴力的な性行為を連想させるものや、子供たちが果物を食べたり、水着で走りまわる図。
これは一般に、性的興奮とは程遠いイメージだ。


僕の会ったうちで、少なくともひとりは、ラム氏は人格が改良されたようにみえた。
40代後半の彼は、ティーンを狙うわいせつ常習犯だった。被害者にはふたりの実娘も含まれている。
刑務所に入っても彼の性癖は治らない。ようやく変わりはじめたのは性暴力捕食者治療プログラムがきっかけだ。

かれはセラピーを評価しつつも、自分の場合、去勢で変われた、と語った。
ペニスを切り落とすことで、頭の中を占めていた小児への性的欲望から解放された、と。
Coalingaのプログラムに去勢は含まれていないが、自発的処置はできる。


齢60に近いプライス氏。Coalingaではじめて僕が話した人だ。
幾度となく性犯罪をおかした彼は日曜学校の教師だった。
膨大な被害者リストの大半は、かれが教会で知り合った少女たちの名前だ。
プライス氏は自己セラピー・プログラムに打ち込んでいる。
思考をメモにとり「日誌」として長大なノートに記録し、過去の性暴力を繰り返し噛み締め過ちを悔いている。



だがCoalingaの抱える一番の問題は、大多数患者全治療を拒否していることだ。

かれらはまず刑務所へ、それからCoalingaに移送されている。
はじめにここに送るべきではないか、多くの者はそう考えている。

かれらは拘留の原因、つまり彼らの犯した罪が、精神病ゆえとは思っていない。
償いは済んだ、拘留は解かれるべきだ、
セラピー・プログラムは彼らを永久に閉じ込めておくためのお遊びに過ぎない、と。



*21世紀の座敷牢


セラピーを受けない患者たちには、かれらの精神に問題がある、との見解に腹を立てるものもいる。
そのひとり、ヤーン氏に聞いた。治療が必要とは思わない?
「頭痛で『治療』を受けるかい?」

あれは酒の上の過ち、と治療を避ける患者もいる。幼児への痴漢行為はアルコールの所為だ、と。
―少々飲み過ぎれば誰だってペドフィリアと化す、そう言わんばかりだ。


妄言ばかりとは言い得ない。治療拒否側の主張にも一理ある。

導入10年を越えた性暴力捕食者治療プログラム(SVP)の記録によれば、
Coalingaの門をくぐった数百名のうち、セラピーによって回復し、
病院を出たのはたった13人だけなのだ。

お仕着せ治療を疑って抗う患者たちとCoalinga病院とは相互不信で隔てられている。
心療専門用語が飛び交う快適な雰囲気にもかかわらず、
大多数のCoalinga患者にしてみれば、ここは刑務所や倉庫で暮らすよりはマシ、
じっさい設備の整った小さな宇宙船で送り出されるよりはまだマシなのだ。


アメリカの納税者は、こういった病院への投資を惜しまない。
じつのところ、これは小児猥褻犯と強姦魔数百人を無為息災に過ごさせる施設なのだが。

患者ひとりにつきCoalingaにかかる予算は年20万ドル。
1500人で満室の病院に患者は増える一方だ。
このような治療施設助成に託された希望がどんなものであれ、結果は
アメリカがもっとも見たくない者たちを、ますますその視界から遠ざけていくばかり。

投票し、テニス・レッスンを受け、ポルノビデオを観、パーティを開き、
他の男と病院内でセックスし、ジャズ・コンボでベースを弾く男たち。
かれらに許されないのはたったひとつ、ここから出て行くことだけなのだ。

他州もCoalingaをモデルとした施設導入案にサインしている。―最近ならニューヨークが。

近所のペドフィリアたちをカントリー・クラブじみた施設に隔離し、
一生閉じ込めておくことに、喜んで税収を投入する人たちは大勢いる。



*以下解説
The Call of the Weird: Travels in American Subcultures

上記事の筆者であり案内役のルイ・セローはイギリスの人 BBCで人気のドキュメンタリー作家です
ポール・セローの息子と言ったほうが話が早いか

英国といえばWhoのピート・タウンゼントが児童ポルノサイトにアクセスしお縄となったオペレーション・オァの国
小児性虐待に厳しいことルイさん映像じゃ終始しかめっ面でした

だからこれイギリス保守層からアメリカ人権欺瞞社会への批判ともとれる記事


*「変態は治らない(でも、やるんだよ!)」と頼りねぇセラピスト、
人権(変態)VS人権(それ以外)の冷戦下、付け焼刃に楽観的なお役所仕事

平均年齢47歳の患者850人のうち治療を受け入れる者は全体の3割 (2010年8月現在)
Coalinga内「報酬システム」では、治療過程でポジティブな振る舞いをしたグループにポイントが与えられる
一日につき100ポイント 500ポイントたまると石鹸と交換できるそうです 石鹸一個じゃなくて石鹸セットと

塀の外には失業者が溢れているご時世にノンキな身分、とはいえ痴漢強姦魔の諸氏も居心地悪そうだ 

とりあえずの娯楽はまかなう大型ショッピング・モールめいた精神病院に閉じ込められて
ブラブラするばかりの中年変態男たちが「人格改良」の効能怪しい心理療法を罵る図は
まさに21世紀いまどきディストピア オーウェルというよりP.K.ディックの描いた未来像であります  

患者職員みなさんどっか無気力で、言ってる科白を自分で信じてない感じがたまらない たまらない虚しさ


*村八分か座敷牢か

ところで先の宿舎のエピソードに「たかが壁の絵じゃん…」て感覚、読者にあるかもしれないわね
だが、あくまで「治療」の名目で勾留している以上、アレを許すのは筋が悪い 
「病人」として隔離したいだけ、目先の面倒を先送りしたいだけの本音がミエミエである

でもマァ、瑣末には違いないよなー 
ゴミ出しに小煩い婆ァじゃあるまいし 何をそこまでピリピリしてんだろ?


禁煙運動禁酒法麻薬撲滅「テロとの戦争」 
恐怖と不安に満ちたワイルド・ワールドからリスクゼロの未来へ、ト、
徹底的に正義を追求するのでおなじみ西欧型ヒステリーは近年児童性虐待対策に著しい

幼女強姦犯=人間のクズ、八つ裂きにしても飽き足りない、という風潮下
アメリカじゃ子供が誘拐されれば地域のTVラジオは放送を中断して情報をつのり
再犯者にGPSを着用させ、刑期を終えた性犯罪者の個人情報をネットに公開してる由

かんじんの効果はメガン法(ミーガン法)に反対するサイトに詳しいです (ミーガン法のまとめ @ macska dot org

悪を滅ぼす、まことに結構 ただ、どこまでやったらよしとするのか そういうこと聞くのもダメなのか 


ちなみに個人情報をネット公開された元性犯罪受刑者への調査結果(2000年 国立司法研究所)では

 83% 住居から追い出されたり、入居を拒否されたりした
 77% 脅迫や嫌がらせを受けた
 67% 家族が心理的に傷つけられた
 67% コミュニティや知人から仲間はずれにされた
 57% 職を失った
 50% 仮釈放の監視員からの圧迫が強まった
  3% 暴行を受けた

これを受けmacska dot orgではこう続ける

「元受刑者から住居を奪い、職を奪い、脅迫や暴力の対象とすることで、
本当に彼ら受刑者による再犯率が減るのか、考えてみた方が良いでしょう。
元受刑者監視にお金を使うくらいなら、そのお金を刑務所内での更生支援プログラムに出すべきだと思います。」

macska dot org » いわゆる「ミーガン法」についてより

フンダンに金を出した「更生支援プログラム」が、しかし豪華な収容所、Coalinga精神病院を産んでるわけで、
つまりは村八分か座敷牢どっちをとる?という話か


下は小児性愛児童虐待を描いたおすすめ作品 画像クリックでamazonリンクに飛びます

つるばらつるばら (白泉社文庫) キーチ!! (1) (ビッグコミックス) ハピネス [DVD]

「好きになった」: どこから変態どこまで愛 海外ネット炎上獣姦ドキュメント映画「Zoo」

「好きになった」: 殺人記念品(マーダービリア)アート?それとも被害者いじめ?

小児性愛の実態 アメリカメディアが現地潜入リポート ―You Tube

人身売買:10時間で子供を買う方法―You Tube

ロリペドやめる友の会―ペドフィリアから波動へ

デスアイサツとゲーム脳、知らない人に挨拶したら死ぬ世界―こどものもうそうblog

精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的視察―近代デジタルライブラリー 
精神病者を閉じ込めていたわが国座敷牢の実態図 こんな

幼女レイプ被害者数統計―警察庁「犯罪統計書」による

(引用画像はYou TubeとBBC、Coalinga State Hospital: Home Pageより)

2010年7月8日木曜日

殺人記念品(マーダービリア)アート?それとも被害者いじめ?



<上の画像はチャールズ・マンソンの髪の毛で作られた「ハンギング・マン」 指印付き1800ドル via Serial Killer Central



以下殺人記念品(マーダービリア)アート?それとも被害者いじめ?を翻訳したい

米AOLニュース2010年2月に掲載された記事 筆者はDavid Lohr 原文


部屋を飾るため、美術品や記念品を買う人たちがいる。それらを投資の対象とする人たちも。
同様に、「murderabilia (マーダービリア)」として知られる特殊なアート市場にも、
アーティストとコレクターを仲介する業者が関わっている。
ふつうのアート市場との違いは、作品を産み出す作家達がたいていは刑務所の中にいることだ。
われらの時代のもっとも残忍、かつ病的な罪を犯したかどで。



<「ゲインズビルの殺人鬼」ダニー・ローリングが死刑執行寸前に描いた絵 >


ピカソの版画はたとえば10万ドルをくだらない。ルー・ ゲーリッグのサイン入りボールはおよそ1万ドルだ。
代わりにゲインズビルの殺人鬼ダニー・ローリングの描いた絵ならどうだろう?2千ドルで手に入る。
もしお気に召さなければ、チャールズ・マンソンのサイン入り運転免許証の写しは375ドル。
売り文句によれば「額装にぴったり!」

犯罪被害者とその支援者たちからの販売差し止め運動をよそに、マーダービリアの売上は近年に増した。
五指にあまる仲介業者たちが、その手のアイテムを数百もインターネットで広告している。




ロ サンジェルスのserialkillersink.netは連続殺人犯の記念品販売の分野で最高売上を誇るサイトのひとつだ。
サイト管理者はEric Gain。彼のこのゾッとしない趣味は、本人曰く15年前から始まったという。

「悪名高いシリアル・キラーに手紙を書きはじめた」 GainはAOLニュースに語る。「はじめは取材しようと思っていた」
「すぐに、ほんとうは本を書きたいわけじゃない、と気づいたよ。少なくとも、今のところはね」
「彼らと僕が築いた信頼。頑張って得たこの絆を大事にしたいと思った」



Eric GainのFacebookより>


4 年ほど前から、Gainは彼の趣味をビジネスに活かしている。
「僕らの業務は単純に、若干の需要が見込めるであろう市場への供給だ」とGain。

「しじゅうテレビを賑わせている連続殺人犯たちが実際に残した作品や記念品を手元に持っていれば、
Investigation Discovery(人気犯罪実録番組)なんて見る必要はない。

言わせてもらえば、TVドキュメンタリーや犯罪実録本にくらべて、
連続殺人犯が自から残した物品の方が、彼らの内面をより正確に物語っていると思う」



<ショッ トガンを構えるEric Gain 詳細なインタビューはBeyond The Dark Horizonに


10年以上にわたって、こういった「醜悪かつ卑劣な」商売を差し止めようと闘っているのは
強固なマーダービリア反対派であり、ヒューストン犯罪被害者の支援活動家、Andy Kahanだ。

「愛する誰かを殺した者にまつわる物品が、第三者によって、金儲けのためだけに売りまくられている。
犯罪被害者にしてみれば、これは吐き気と嫌悪以外の何ものをも引き起こさない事態だ」AOLニュースにKahanは語った。

「私は、政府の不干渉を旨とする自由企業の理念と、資本主義とを固く信じている」
「しかし強盗や強姦、殺人をしてはならないはずだ―翻って、そこから利益を出してはならない」



Bravo Awardより 星条旗を背にしたAndy Kahan>


Kahanがマーダービリア販売反対運動に関わるようになったのは1999年、
収監中のNY連続殺人犯自作の絵をeBayで売出したことが矯正局に発覚し、
特権を剥奪されたという記事を読んだのがきっかけだ。

「世界最大のオークションサイト、eBayで検索すると、
その手のアイテムが結局、数百も見つかった―シリアル・キラーの手紙から絵画までね」とKahan。
「たぶん多くの人と同じように、私も、この商売は違法に決まっていると考えた。
ありえないだろ?最悪の犯罪から、誰かが何がしかの収入を得られるなんて」

だがeBay広報部に連絡したKahanは実態を思い知ることになる。

「取引が合法である以上、eBayは道徳的にマーダービリアを取締れない。
出品物がいくら気に入らなかろうと、彼らは出品依頼を受ける義務がある。何とかしなくちゃ」

そこで彼は商品を自ら購入し、自らの手で破棄するようになった。

「連続殺人犯の髪だの爪だの服。彼らの描いた性的な、ポルノまがいの絵。何でもありだ」Kahanは付け加える。
「いくつかは捨てずに取ってある。のちの担当官への陳情の場で、私の説得力を大幅に上げるためにね」



スティーブン・キング「IT」のモデル ジョ ン・ゲイシーの髑髏絵 YuppiePunkよ り>


2001年、eBayは以後マーダービリアを扱わないと発表した。
更新された「不快品禁止規定」には
「重大な暴力行為による有罪判決をくだされたユーザーが、その悪名から利益を得ようとした場合
(たとえ他者を通しても)ユーザーリストを削除し、アカウントを停止する」と追記された。

だがマーダービリア業者たちに動揺はない。それなら自身でオンライン・ショップを立ち上げるまでだ。
Kahan の闘いは結果として立法府へと及ぶ。

「彼らを出し抜く法律をつくりはじめた。現在8つの州で新法が通過している。いわゆる「悪名利潤禁止法」だ」
しかし州をまたいだ商取引に州法は及ばない。連邦法を改定しなければ。

Kahanはテキサス上院議員John Cornynと共に、マーダービリア販売禁止法案1528条を作成する。

この法案は囚人に利潤をもたらす物品の郵便配送をアメリカ全土で禁ずるというもの。
当初、下院議員Dave Reichertに取り上げられたが以後進展がない。

「公聴会ひとつ開かれない。理解出来ないよ。意見調整の機会すら与えられないんだ」とKahan。
「はっきりいおう。理由は民主党の支持が得られないこと、それで膠着状態さ」

マーダービリア販売禁止法は目下「瀕死の状態」だ、とKahanは語った。



<「コー スト・トゥ・コースト・キラー」Tommy Lynn Sells作 manson family picnicより >

 
いっぽう、Gainは彼の商品が何故 Kahanらをこれほど怒らせるのかわからない。

「セレブやスポーツ選手なんかのサインを集めるのと同じだよ」とGain。
「彼らへの批判さえ、さらなる作品制作への原動力になりうる 」

「もし、連続殺人犯が絶対に二度と刑務所から出られない、と安心したいなら、
仮釈放の日程前に審査委員会に手紙を書くことだ」

「被害者家族達には同情する。でも同時に、法に則った商売を営む権利が僕にはあるんだよ・・。
あくまで僕らの利益のために。受刑者のためじゃない」



マーダービリアのコレクター、Joe HilesもGainに賛成だ。
Joeはシリアル・キラーの専門サイト、skcentral.comの管理人でもある。

「僕がこういった物を集めるのは、これらを歴史の証言と見ているからだ」とJoe Hiles。

「病的で陰惨な歴史かもしれない。それでもなお、これは歴史なんだ。
半世紀後、人々はAnthony Sowellという名を聞くとクリーブランドの、
David BerkowitzといえばNYの歴史を思い出すだろう。
もちろん、ただ古きよき日々としてでなく。でも、それだって歴史なのさ」



<「パリの吸血鬼」Nicolas Clauxが己の血で綴った色紙「アイ・ヘイト・ピープル」 
仮釈放成って現在はシリアル・キラー・カレンダーの作者として有名

MURDERAUCTION.COMより


以下余談



上の動画「Murderabilia Pt 1 」 で
Kahan(とスタジオにいる全員)に「歴史の証言」コレクターJoe Hilesがとっちめられているところが見られる
叩く側叩かれる側 顔つき物腰あまりに典型的で嬉しくなっちゃう公開リンチ映像であります その2



*TVでゲストを「変態」と呼んで憚らない司会者はJohn Walsh
ちょっと「おもいッきりテレビ」みのもんたを思わせる 世界的にはWalshのほうがずっと有名でしょう
高圧的な彼の態度にはワケがある その因縁を以下かんたんに解説する 詳しくはアメリカTV/映画ノーツを参照のこと



momlogicより John Walsh


John Walshはもとフロリダでホテル経営をしていた富裕層 
1981年、36歳のときにショッピングモールで息子(8歳)を誘拐されてしまう

シアーズのゲーム売り場で7分間目を離したすきに消え失せた愛児の頭は2週間後、浜辺で見つかった
体の残りは見つからなかった




Hyaena Galleryより Ottis Toole

罪のない8つの子をさらって首を斬り落とした、と自白した男はOttis Toole 数件の殺人放火容疑で収監中の身 
だが、のちに証言を覆し捜査を混乱させ「容疑者」のまま肝臓を病んで獄中死した

フロリダ警察はTooleの死後かれを犯人と断定し、初動捜査の遅れを謝罪した 2008年 犯行からじつに27年後だ
(Tooleの絵も勿論マーダービリアとして売られている いくつかはFlickr でも見られるよ



全米一有名になってしまった被害者の親、John Walshは虐待行方不明児問題に取り組むNPOでも知られるようになる
息子の悲劇をもとに撮られた2本のTV映画NCMEC(全米行方不明/被搾取児童センター)の理事就任、
ついにはホワイトハウスの招待を受けるところまで昇りつめる
(NCMECの活動はアンバーアラート児童ポルノ法関連で御存知の読者もいるでしょう)

88年、WalshはFOXテレビ「America's Most Wanted」の司会に抜擢された
TV越しに視聴者と連携し、現在逃走中の犯罪者を追いつめるという企画が当たって今も続くFOX最長寿看板番組
この番組の情報提供によって捕まった逃走犯は2010年7月の時点で1121人という



*ところでFOXテレビといえば共和党寄り保守層扇動で悪名高い会社 (参考ドキュメンタリー「OutfoxedYou Tube日本語版全編
こと「表現の自由」に関しては、リベラルの多いネット・ユーザーと水が合わない 

さいごに、彼らマーダービリア擁護派からJohn Walshへの批判を紹介したい Wikipediaの頁頭に記されている文より

「FOX テレビが協賛し、Walshその人が共同経営者であるところの国立犯罪・刑罰博物館のアトラクションでは
元祖シリアル・キラーテッド・バンディのワーゲンを飾り、
殺人ピエロジョン・ゲイシーの人形と遺品を並べて客を呼んでいる
入場料は相場より高め おとな18ドルこども15ドル 
それってマーダービリアとどう違う?」


*アマゾンは僕から超おすすめのシリアル・キラー・ストーリー
(ところでこの記事に貼られたアフィリエイト、マーダービリアとどう違う)

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「好きになった」メモ: 「こんなものはアートじゃない」と言う前に

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