2006年度のアカデミー長編ドキュメンタリー賞を惜しくも逃した傑作「JESUS CAMP ジーザス・キャンプ」がニコニコ動画にあがってるよ 監督はRachel GradyとHeidi Ewing 日本語版はたぶん、今のところココでしか見られないかと
「考えてみてください 60万人の子供たちがうそを教えられているんですよ 25%のアメリカ人が 自分は福音派キリスト教徒だと およそ8000万人ですよ かれらは非常にかたくなで アメリカの権力の中に押し入ろうとしています 彼らの居心地のいい政府を作ろうとしているグループの行動心理なのです 結局は、教会と政府との距離が徐々に縮まっていくと思いますよ」 |
福音派で一番有名な権力者といえばジョージ・ブッシュ ボール紙で作られた彼の立像に手を伸ばす子供たち、学校に行かない「神の兵士」の映像は、このドキュメントの白眉であります
学生時分の女友達が福音派のプロテスタントで、「進化論はウソ」ってひとだった
「だって、人間はサルに似てないよ」
宗教人特有の視野の狭さや攻撃的なところが全くなくて、おちついたお姉さんタイプ
周りから慕われていた人でした
自分は彼女に気があって、何度かデートしたけれど、どうも話題が色っぽくならない
「ルカって人、それからマタイ、マルコって人がいて、そのひとたちが書いたのが福音書」キリストの弟子?「あとから調べて書いたの」どんなことが書いてあるの?
「イエス様が生まれてから復活するまで」
この時点でもう私はイライラしているわけです 若いし 今よりずっとせっかちだったから
復活なんてあるわけねーじゃん アンタ騙されてんだよ あと、人間はサルそっくりだよ 悪いけど
「君は頑固だね こんどアメリカから偉い伝道師さまが来るの 私よりうまく説明してくれると思うよ チケットあまってるから、今度そこで会おう」
待ち合わせ場所 「ビリー・グラハム・イン・東京ドーム」に結局彼女は来なかった
空席ばかりのスタジアムで、自分は蠅のように背を丸め手をこすり合わせて彼女を待った
巨大スクリーンに映ったビリー・グラハムと仲間達は「生まれ変わろう」「生まれ変わろう」と英語で叫んでいた
迷える子羊たちよ、さあ降りてきて聖体拝領なさい、みたいなことを司会が言った途端、おお、といった感じで、観客席からワラワラ人が数千の単位で降りてきて、グラウンドにしつらえた小部屋に列を成した
東京ドームがTVに映らない日はないだろう ふだん見慣れた野球場に一種類の人が、つまり信徒が大勢集まって順番を待っている 特設舞台でスポットを浴びているのは白人で、グラウンドには日本人ばかり
「迷いは解かれる」「心を開こう」「神に祈ろう」繰り返すスピーカーに、息苦しくなって通路に出た
ささくれ立った気分で煙草を吸っていると、喫煙所に設置されているディスプレイでも、ビリー・グラハムが喋っていた 日本人用につくった説教ビデオ
「現代の宇宙時代には、たくさんの衛星が打ち上げられ、人々を見守っています 神もまた同じように、あなたを見ています!逃れることは出来ないのです!!」 |
「神があなたを見ています」「逃れることは出来ません」内にも外にも、これは最悪の脅迫だろう
自分は、この時の憎しみを忘れないようにしよう、と思った 美しい言葉を紡ぐ覗き魔たちを決して許さないようにしよう 「あなたのため」と他人の心に土足で入り込む輩には、必要ならば力で立ち向かおう、と
マフラーを置いてきたことに気づいたのは、中央線に乗ってから
次の日、彼女から電話があって、一方的な口論になった
「何を怒っているんだかよくわからない」「仕事の都合で行けなかったことは悪いと思っている ごめんなさい」「伝え方はいろいろあるし、それは単なる言葉だから」
彼女が憎いわけでも何でもない 俺の言葉が伝わらない それが悔しかった
こうして疎遠になった後も、彼女は毎年賀状をくれた
教会で知り合った人と結婚し、子供を二人生んだ 可愛い写真が貼ってあった
「ヒサミチ、元気にしてますか」自分は返事を出さなかった
「ジーザス・キャンプ」のような偏狭な原理主義に対し、自分もまた偏狭になるのは何故だろう
信じるひとは暑苦しい 創価学会や統一教会、ネズミ講に引っかかるような「ポジティブな」人たち、頭に血が昇った左翼や右翼 その目に他人は2種類しか映らない「敵か味方か」
彼らはすでに「正解」を知っている あとはオルグしてまわるだけ
自信のありすぎる人はわずらわしい 他人の話をよく聞かず、細部を見ずに大雑把なイメージだけを説く
曰く「信じること」「幸福」「愛」「本当の自分」「夢を叶える」「人生の目的」
われわれの殆どは、彼らのいう「目的のない人生」を生きている
同時に、自分なりの愛や幸福を、「夢」という名の希望を日々探している
しかし、「正解」を提示する原理主義者は、個々の「問題」に見向きもしない
日本全国の駅名をそらんじてTVで繰り返す子供のように 彼らは「答」しか知らないんだ
「キリストを信じないと地獄に落ちるぞ」牧師に言われたインディアン「白人の天国には行きたくない」
「キリストに熱狂する子供たちを見たかったら、ここに来るといいわ |
「ジーザス・キャンプ」福音派の集会は「みんなおんなじ」「あいつらを許すな」集団陶酔のムードだけで動いている 「宗教は阿片」とはよくいったもんだ
ところで、「福音派」の名は、福音書に書かれたことを全て真実とする思想に由来している
君の人生の目的は、2000年前に書かれている、ということだ ラテン語でだよ
自分もまた、自分がこうしてブログに書いていることを全て真実と考えている
君いがいの人が君の人生の目的なんて書けるわけないと思うよ
(追記)しかし、「宗教は阿片」このセリフを広めたマルクスの名のもと、世界中に起こった共産主義革命は、まさしく「みんなおんなじ」「反革命を許すな」で何千万という人間を犠牲にした こうして話はもとに戻る
原理主義を滅ぼさんとする者がみな原理主義者に似るのは何故だ 人には阿片が必要なのか
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映画秘宝 連載 高橋ヨシキの悪魔の映画史
上の写真「人生には目的がある」テッド・ハガードのスキャンダルについて
■■キリスト教会内の虐待・カルト問題 情報リンク■■
「好きになった」メモ: 信じる心
(しかし、ココだけの話、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞ってのも
「ボウリング・フォー・コロンバイン」みたいな感傷過多のプロパガンダや、試合のクライマックスをノーマン・メイラーのダラダラ話で切り刻んだ腰砕け「モハメド・アリ かけがえのない日々」がとってる様じゃなー しかも、あの名作「フープ・ドリームス」はノミネートもされなかったんだってさ)
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