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2011年9月10日土曜日

僕が僕であるために頭脳警察を粉砕せよ!フロイト精神分析発大衆操作プロパガンダの歴史ドキュメント「自我の世紀(3)」



2002年BBC放映の名作ドキュメンタリー「自我の世紀」第3部
日本語翻訳版をつくりました (第1部&第2部) (ダウンロード) (YouTubeで見る) 
監督アダム・カーティス 原題は 「Century Of Self3-
There is a Policeman Inside All Our Heads: He Must Be Destroyed(頭脳警察を粉砕せよ)」


フロイトの無意識理論がいかに大衆操作に利用されたかを辿るドキュメンタリー
今回第3部は米60年代の「自我の解放」「自分探し」ブームが
企業社会や政界にとりこまれていく過程を追います シリーズ白眉はこの回と思われる
これだけ見ても最高に面白い 御用のない方60分つくって上の動画を是非ご覧あれ

以下は解説を兼ねた訳者の自分語り 



*友達と縁を切ったことがある 
「もう来ないで欲しい」と部屋から追い出したことがある 
20年も前の話だ



わたしたちはアマチュアのロックバンドをやっていて
河原や公民館で週に何度か練習をする仲だった 
以前は車で夜の首都高をぐるぐる回ったり
闇に紛れプールに忍んで泳いだり
もっと前は学校帰り誰かの家に集まって
ファミコンで遊んだりする4人組だった



4人で付き合った期間は5年くらいだろうか 
5年のあいだに2人が童貞を捨て、2人が職を得、2人が車を買った 
1人暮らしをはじめたのは俺が最初だった

車やゲームに特に興味を持てなかった自分はしかし、
作詞作曲には夢中になった
今こうしてインターネットに書き込んでるのと変わらない
「何もかもうんざり」「あんな女殺してやる」とかいう唄を闇雲に叫び
己の憂さを表せる、その遊びにシビれ取り憑かれた



病高じてかれら3人ともう1人、当時付き合っていた女に
わたしは声をかけ
90年代はじめのバンドブームが終わりかけていた頃に
ロックバンドを結成したというわけだ
「ドラムなんてやったことないよ」大丈夫、なんとかなるよ
「100万ボルト」という名を付けた 巧くなったらライブをしよう
俺達は有名になるだろう

男4人は低偏差値の高校出身で、進学した者はいない
軽音楽部なんてなものと無縁なため、
他の素人バンドをまるで知らなかった 



はじめてのライブ 
舞台で俺のギターの調律がずれて20分ほど立ち往生し、
年上の対バンに哂われた 「チューニングも出来ねえのかよ」
今なら笑い話だが、18の俺は深刻に落ち込んだ 

熱の冷めた練習に集まるのは自分と(人のいい)彼女だけ、という日々 



彼らはバンドがやりたいんじゃなく、
ただ寂しいから何となく集まっている
スノーボードでもツーリングでも下町食べあるきでも 
楽しいイベントなら何でもかまわないのではないか?
最近聴いたCDや本や映画を夢中になって説く俺に、
彼らの興味は仲間内の噂話ばかりに思えた

何故こんな狭い場所で満足できるんだろう?



押し付けがましい己に気づかぬまま
手前勝手な依存心に不満は募るばかり
「こーんなことも知らないの」と女にあたり
「つまんねぇ」「馬鹿ばっかり」と独りごちる 

そんな折、彼ら4人が久しぶりに訪ねてきた
「バンドはもう楽しくない それだけなんだ」
「でも、お前とは友達でいたい」
きみたち陰でお互い悪口を言い合ってるじゃないか
何でわざわざ見下してる奴と付き合うんだ?云々
別れ話めいたやりとりのうちに一人がこう言った
「でも、お前はお前だろ」「俺は俺だし」
「自分は自分だから」



????そうか?本当に「俺は俺」なんだろうか?
俺は俺じゃないんじゃないか?
少なくとも誰かに「自分は自分」と宣言できるような、
宣言せざるを得ないような何かが、俺にあるだろうか?
何もない



*高校中退自称物知り 
理屈は一人前だが歌は下手 ギターの調律も満足にできない
世間が怖くてバイトが続かず親の仕送りを当てにしていた俺は
そろそろ19歳になろうとしていた

「サブカル青年」というライフスタイル勃興寸前にウヨウヨいた
典型的なバブル期「個性の時代」の若者だ



自分で自分が嫌でしょうがなかった俺は、
彼らが嫌でしょうがなくなった  馬鹿な自分を見ているように思えた
何も出来ないのに一人前の顔をして
本心では見下している他人の顔色ばかり伺って
尊敬されたくて、愛されたくて、目立ちたくてたまんないくせに
仲間からの逸脱を極度に恐れている



だがその上で
「自分は自分」?世間知らずのガキが何言ってやがる阿呆、
とはやはり思わなかったね 嗚呼バブルの時代
ボクも確固たる「自分」てのが欲しかったのです 喉から手が出るほど欲しかった
ひとりぼっちでも平気な強い「個」が欲しかった





*というわけで彼らと縁を切った後、俺の自分探しが始まる 
つっても貧乏だし本を読むだけだ 
まず頭が良くなりたいとヒッピーの宗教本を読み漁った 
ジェリー・ガルシア「自分の生き方をさがしている人のために
ラジニーシグルジェフカスタネダアラン・ワッツニーチェ鈴木大拙
コリン・ウィルソン岸田秀橋本治に辿り着いたあたりで大学進学を決めた



上の映像「自我の世紀3」に出てくる
ジェリー・ルービン「Do It!」も ライヒ「きけ小人物よ!」も
当時は好きで読んでいた
だからこの「個性の時代」の愚を描いたドキュメンタリーには耳が痛い
自分のことを言われているようだから



*大学を出てのち バンドやってるんです、と職場で言った折、
先輩から忠告を受けた

「ライブも機材も金かかるでしょー
成功できるのは一握り でもバンド、流行ってる 
やってる奴たくさんいるよね
ヒサミチくん今のうちに宗旨替えして
楽器屋やスタジオ、プロモーターやったらどうよ?」

「『砂金が出る!』と西海岸にゴールドラッシュが起こった時、
貧乏人達がおおぜい一攫千金の夢追って西部に押し寄せた
大ブームの過ぎたあと、一番儲けたのは誰だと思う?」

「砂金採掘機材製造会社 砂金採りを迎えた売春サービス業、
インフラ担う鉄道会社と建設会社 新しい町を治め税金吸い取るヤクザと政治家だよ 
川に砂金を探して儲かった奴なんてひとりもいない」


この映像「自我の世紀」第3部が伝えるのは、基本的にはこういう構図だ



だが、砂金探しの欲ぼけアメリカ人に比べ
100年後の我々「自分探し」世代が更にずっと幼稚に見えるのは
扱う商品「万能感」ゆえだろう この映像の「自我」とはこれを飾った物言いに過ぎない

何しろこの商品「自我」の魅力をアピールするのに根拠はいらない
ただ自分を信じればいい あなたに眠っている個性を信じればいい
信じれば夢は叶うのだ 無限にひろがる未来の可能性を信じればいい

こうしてコンサルタントやセミナー業者、自己啓発本の煽る万能感に頭をヤられ 
さんざ幼児退行を起こした末に夢から醒めて
騙された!金返せ!ト文句をつける者がいるだろうか 
「自己確立」はいまや懐かし「自己責任」と表裏一体なのだからして





*ところで
このドキュメンタリー「自我の世紀」シリーズ全般にわたって
でもそれの、大衆操作の何が悪いの?て疑問も、ある読者にはあると思う

ゴールドラッシュの喩えで言おう
荒地にインフラ敷いて雇用を産み出し豊かな社会が作れるならば
火種が幻想だろうと何だろうとかまわないではないか?  
繁栄を招く原動力はいつだって若く向こう見ずな欲望だ
売り手と買い手、詐欺師とカモ、両者揃って資本主義の基本じゃないか?



しかし待て
採れた砂金を町に持ち帰れば女が買えた酒が飲めた人を雇えた更なる投資に回すこともできた 
翻って 自我の万能感は何になる?
「自分は自分」の念仏じみた流行思想は、
けっきょく我々をバラバラに分断しただけではないか 

神や伝統の軛(たとえば純潔修道院)から解放され、
出自のもたらす視野狭窄(たとえば過激な反差別闘争)から自由になって
次は家族制度の破壊に向かうだろうこの「自我の世紀」のニヒリズムを支えるのは、宿命なき時代の不信感だ

「自分を信じて」「夢を信じて」「その気持を信じて」J-POPが繰り返すのは
移ろいやすい己の心の外側に 信じられるものがもはや何もないからだろう



いや信頼どころか考えてみりゃ
旧社会から「自由に」「解放された」我々にはもう、愛も憎しみもいらない 
だって「自分らしく生きる」ためには究極のところ、
己を制限し影響を及ぼしてくるカンケーねー他人などタダ煩いだけじゃないですか 

ひとりひとりが自己創造のアーティスト、相互プロパガンダの御時世に望まれる他者は
ファン、信者、取り巻きパトロン「操作の対象」のみでありましょう

そんなことないって?オヤオヤ読者よ 
そりゃーアンタの見方でしょ アンタはアンタ、俺は俺でしょ




*ひとりぼっちでも平気な強い「個」になりたかった私は、
こうして「個」の寂しさ、情けなさに思い至る

かけがえのない、特別な、たった一つのもの、最後には信じるしかないもの、
「自分」という楽園に辿り着いた、または檻に立て篭もった結果が
われわれ自己顕示欲、承認欲求をつのらせるばかり

バンドで売れたいネットで名を挙げたいインタビュー受けてチヤホヤされたい
「歌ってみた」「踊ってみた」「描いてみた」「モノマネに挑戦」
IT革命に背を押され、銭の入るあてもない素人芸がこれほど興隆をきたすのは
見物を笑わせたい泣かせたいふりむかせたい大衆感情を操作したい、と
大衆個々が考えるようになった証にみえる



*以上 悪態を並べたが

もし筆者がもう一度、生まれ変わって人生をやりなおせるとしたら
しかしやっぱりバンドを組むだろう 長文ブログを書くだろう 「自分探し」の旅に出るだろう 
芸事なくして生きる理由はない 誰かに思いを届けたい 阿呆だらけの世間に我慢出来ない
賞賛されたい目立ちたい 君の心を操作したい 心の底から愛されたい
生涯会うこともないだろう人にまで自分を知ってもらいたい

200年前の社会なら俺は一種の狂人だろう 
でも今こんな人 どこにでもいるよね



*「自分探し」ブームに湧いた好景気はとっくに過ぎた
今は 百万人単位のニートひきこもりが
「社会適応成功者」月給取りを妬み羨むような、自信のない時代だ

ひきこもりには用事がない そもそも気をつかう相手がいない
カンケーねぇー他人やうるせぇ上司や教師から
社会の圧力から もっとも「自由に」「解放された」層が、自分で自分を閉じ込めて
もっとも後ろめたさを感じているような時代が いつまで続くのかはわからない



以下はおすすめ参考書籍音源リンク
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シンデレラボーイシンデレラガールDo it!―革命のシナリオフォー・ビギナーズ・シリーズ 52 ライヒ(翻訳版)
頭脳警察 1Freak Out


好きになった:誰もがスター

2011年3月2日水曜日

「社会に適応するため自分を操ろう」精神分析発大衆操作の歴史ドキュメント「自我の世紀(2)合意の捏造」

脳がポジティブに

空高く羽ばたく鳥のように 野に咲く一輪の薔薇のように
自由な精神を持ち続けたい



たとえばそう思いつつ日々を生きる いち自由人に対し
読者諸君も御存知のとおり、
現代日本は実に冷たい社会である

寒い朝など布団を出るのが億劫だ
ついつい朝寝の自由を行使 
遅刻が重なり留年に

理不尽きわまるパワハラ上司の圧制にNO
自由の精神で対抗だ
ついつい小突いて懲戒免職 

マリファナ吸っても電車で女の尻を撫でても
コンビニ内で封を破った菓子パンむしゃむしゃ食べても
この社会では許されない 「ちょっとアンタ!何してるの!」


哀れお縄となった元自由人はその非を諄諄と諭される
「自由には責任が伴う」と

責任つまり後払い 駐車場にポスターありますね 
「無断駐車は罰金10万円申し受けます」 同様に
上司を殴ったら×万円、電車の痴漢は×万円と
いちいち書いてある本がある いちいち決める人がいるわけだ

人間社会はお互い様 逆にこちらが無料で殴られてはたまらない
「俺の自由」と居直られても困る 
個人の自由を制限せずには個人の集団が、
つまり社会が成り立たないのです


「社会?関係ねぇだろ」みたいな自由人は恐ろしい いつ殴られるかわからない 
必要なのは教育だ 社会のルールを叩き込まなきゃ
「バチがあたるよ」「地獄に堕ちる」「生き倒れて死ぬぞ」「刑務所に入りたいの」 
いくら説いてもダメな人、イコール頭がアレな人 
要治療、トどっかに閉じ込めちゃうのが通例ですね 
お巡りさんに連れてってもらわなきゃ 社会の管理下に置かなくちゃ 

生まれ変わらせる


だが上の如き豪傑譚 最近はあまり聞かないね 
無差別殺人達成後、諭されちゃんと反省する人までいる
知らん人刺す前に諭されとけや、と思うけど
ひとはひと自分は自分の、これも御時世也 

「その気はあるのに社会に適応できない」
むしろ近年よく聞くのはこっちのほうだ 
せっかく生まれた管理社会で管理されない自分が悲しい 一体どこがマズいのか、と


にしても、適応の激ムズいその「社会」って具体的にどんな社会?と
問うても答は千差万別で
要するに、親だの教師だの上役だの新聞TVだのの
「期待される人間像」通り振る舞えない、て話だったりもする
だから狐の落ちるが如く、一人暮らしや転職で解決することもしばしばだ

ハナからあやふやな「社会の望む理想像」を当て推量に熱演し
その甲斐の無さに疲れ街行く人をフト見上げて溜息ばかり
「何でこんな社会に耐えられるの…」「みんな苦しくないの…」
「変な狐にでも憑かれてるのでは?」「狐が日本を支配してるのでは?」

マァ狐は諸君の心の中に つまりどこにでもいるしな


*先に日本語翻訳したBBCドキュメント映像の傑作シリーズ 今回は狐狩りの話 

精神分析がいかに大衆操作に用いられたか、の検証ドキュメント
「自我の世紀 Century Of Self」パート2「合意の捏造」を見てください
2から見てもだいじょうぶ面白いです (パート1パート3)(YouTube)



今回は精神分析学の祖ジークモント・フロイトの娘、アンナ・フロイトの内面操作術が
戦後アメリカ消費社会に広まり衰える過程&
フロイトの甥エドワード・バーネイズの演出したグァテマラの政変劇(PBSUCCESS作戦)が中心

喧伝される「無意識の恐怖」に怯えたインテリ官僚財界人が
精神分析理論をテコに 
いかに戦後アメリカ大衆を操ったか&どうして操りきれなかったのか、が見所だ


個人的にはこの何気ない一言が強烈だった
「民主主義の価値を内面化する」

民主主義内面化

「共産主義の内面化が足りない」と同志殺しを繰り返したのが連合赤軍リンチ事件

ソ連で政治犯は精神病院行きなら、
アメリカじゃ原爆投下の罪悪感を拭えなかった将校が「精神を病」み
もっと昔は黒人逃亡奴隷が「精神病」とみなされた 今は小児猥褻犯=精神病者 
次は「差別主義者」の番だろう 


「内面化」の完了した社会の優等生が、規範に外れた者を狩りだせば
魔女狩りと同じで歯止めがきかない 何しろテキは「内面」の、目には見えない心の病
異議を口にするだけで、「お前もか!」こっちが狩られちゃいそうだ 


病院送りは御免こうむる、と日々社会適応にきりきり舞いの我々も、
ひとたびそのおっかない「社会」を規定すると
何か普遍のもの、変わらない不動の存在を頭に描きがちであります

だが読者よ10年20年前の自分を思い出して欲しい 
欲望、悩み、人間関係、
現在ただ今コレ読んでる君と昔の君は、ある意味ほとんど別の人なはず 

変わったのか変わらされたのか、イヤ実際は何も変わっていないのか
もしも歴史に学ばなければ
それ測る基準は他人の眼という「社会」だけだわね 堂々巡り


「なら考えたところで何になる?乗り遅れないことが肝心なのだ」と
自己操作を説く新書の類が
ベストセラーに挙がっては忘れられていく

人権民主主義の御時世に
電気ショックやLSDで頭を書き換えるのはもう古い
悟られずソフトに誘導するのがウィンウィンへの王道です、
くらいの説はそんな新書にだって書いてある 

大衆操作が身近にソフトに暮らしの中に入り込んでいる現在
その霊験ますますあらたか、かどうかは知らないが

気づかせずall


ところで「社会適応」の1ランク上
ままならぬ世間の誰彼を、思うまま操れたら楽しかろう
銭も名誉も権力もアッチの方も満たされる 

自己操作や自己変革のすすめには、
この万能感への希求を誘う香りが強い


そもそもわれわれ皆が一方的に操られ、
適応を即される「被害者」なわけがない 
人間社会はお互い様 けっきょくのところ、
他人や社会を操りたいからこそ「新しい自分に生まれ変わりたい」のだ 

「敵を騙すにはまず己から」のつもりの自己操作の果て
狐に憑かれた狩人が束になって「狐は、狐はどこじゃ?!」と
右往左往してるのが モノノケ大衆社会の実態じゃないの?
やっぱり狐が日本を動かしてるんじゃないの?
ト世相を斬ったところでこの項終わる


下の画像はおすすめ参考書籍DVD クリックでAmazonに飛びます

心理学化する社会封建主義私には夢がある―M・L・キング説教・講演集カッコーの巣の上で

「好きになった」: フロイト精神分析発「電通の陰謀」行 大衆操作プロパガンダの歴史ドキュメント「自我の世紀(1)」を見てください

「好きになった」: ペドフィリア収容所 ―小児性虐待者は治せるか 米精神病院レポート

2010年8月9日月曜日

ネットで見られる明治のシュール画像 宮武外骨「滑稽新聞」絵葉書集&電子書籍集

まえにtwitterで反響がおおきかった ブログにも書いとこう

*宮武外骨「滑稽新聞」絵葉書500枚強が ボストン美術館のサイトでハイ・クオリティ閲覧可能になってるよ

美術館の検索結果からは大画像までいちいち手間がかかる(そのかわり細部まで見られるけど) ので以下まとめ

*ダウンロード用絵葉書詰め合わせzip (2つ) *mediafile(1つ 同内容 Click here to start downloadをクリック)


Ehagaki sekai, Vol. 13*これは何?という読者へ

ネットに溢れるコラージュパロディエログロナンセンスのおもしろ図版ネタ画像、 100年まえのアレと思えば間違いないです 描いた絵師もわからなかったりするし

企画編者は「滑稽新聞」主宰宮武外骨 洒落と風刺と反骨で世に聞こえた畸人ジャーナリスト

縦読みAA(アスキーアート)シュルレアリスム、表現弾圧を盾に取った表現手法から最近じゃ「元祖2ちゃんねらー」言われてるらしい



「宮武外骨のプロデュースした雑誌の中に、『滑稽新聞』に次ぐヒットを飛ばした『絵葉書世界』がある。 絵葉書ブームに商売の可能性を見出だし、別冊定期増刊として明治40年に『絵葉書世界』を創刊した。

各号が風俗・世相諷刺漫画やエログロ・ナンセンス調、江戸劇画調、外国漫画などバラエティー富んだ多色刷りのイラストが、63×93cmの八つ折りされた厚紙に印刷されていた。 2年間に渡り毎月発刊され、26集販売されたこの雑誌は、見るだけで十分楽しめるうえ、全てのイラストを切り離して30枚の絵葉書として使えるようになっていた。 一部14銭という手頃な値段と絵葉書ブームによって、大成功を収めたのである。

また全部で780種ある絵葉書は、竹久夢二といった既に成功を収めていた有名作家や、米野白水、墨池亭黒坊といった無名作家の協力によって支えられていた。」
「絵葉書世界」より 図版


自分が外骨を知ったのはかれ再評価の先駆けとなった「学術小説 外骨という人がいた!
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*滑稽新聞どんな新聞

たとえば明治37年、日露開戦直後の1a検閲自主規制の風潮下に訴えていわく



「秘密外の○○
(○○論○○記)
今の○○軍○○事○当○○局○○○者は○○○○つ○ま○ら○ぬ○○事までも秘密○○秘密○○○と○○○云(い)ふ○○て○○○○新聞に○○○書○か○さぬ○○事に○して○○居るから○○○新聞屋○○は○○○○聴いた○○○事を○○○載せ○○○○られ○○得ず○○して○○丸々○○○づくし○の記事なども ○○○○多い○○○

是は○○つまり○○○当局者の○○○○○尻の○○穴の○○狭い○はなしで度胸が○○○無さ○○○過ぎる○○○○様○○○○だ

我輩○○が○○○思ふ○○○○には○○○○○軍○は○○元来○○○野蛮○○○○ な○○○○○事で○○○○○○あるから○○その○○○軍備○○○を○○○秘密○○にし○○○○て○○○敵○○○○の○○○○不意○○を○○○うつ○○○○ の○○も○○○○あな○○○○がち○○咎む○○○○べき○事○○○○○で○○○は○○ないが○それ○○○よりも○○○○門○戸○開○放○○の○○○○露 ○○○○○骨○○○主○○○義○○○○で○○○○○おれは○○○○○斯く○○○○斯く○の○○手段○○○○○○で○○○○○大きに○○うぬ○○ら○○○を ○○○○○○たヽき○○○○潰す○○○つもりだ○○○○○サー○○コイ○○○と正々○○○○堂々○○○○と○○○○○○進軍○○○○する○○○方○○が ○○男○○○らし○○○○○い○○○○様だ○○○○○」

「宮武外骨」より 画像は「天野祐吉のあんころじい」より

asahi.com-洒落っ気にしびれた 日本人脈記

伏字が伏字になってない


また、もとは怪しい薬売から出資金詐欺で身を立てて大阪市会議員となった実在の有力者、

野口茂平をズバリ「詐欺師」と紙面で斬首、その首を毎号毎号晒したりとやりたい放題

11901022.v128128754911900995.v1281287549

宮武外骨 - 写真共有サイト「フォト蔵」より



とうぜん筆禍訴訟や発行停止は日常茶飯事 外骨そもそも23歳初入獄の逸話からして可笑しい このひとぜんぜん反省してない

後年、獄中で「何をしていましたか」と聞かれた外骨は「せんずりばかりをやっていました。せんずりでもやらぬと体が保ちませんよ」とケムにまいたが、人一倍の精力を持て余した外骨はマスターベーションしているうちに、研究熱心からいろいろな方法をあみ出した。

転んでもタダでは起きない外骨流がここでも発揮され、出獄後に『千摺(せんずり)考』として出版し、大評判となった。「ざこね千摺」「尻堀り千摺」「コンニャク千摺り」など四十八手を考え出して、千摺百科を紹介した。

『往来の千摺には二つあり。その一つは、途中であった女の美しさに淫心を起こして、ひそかにへのこ(ペニス)をかきて、独楽を試みる。また一つは道路の雪隠(トイレ)などに入り、往来をのぞき、通りかかる女の姿に目をとめて、千摺をかくのがコツなり』『女のあとをつけ、二,三町従いゆき、右の手を懐中に入れ、得手もの(ペニス)をひねくべし・・・、先のべっぴんの後姿を見ることゆえ、得てのもの造作なく、気をもちおーやけいづ(勃起してくる)』

『かくしてようよう気のいきそうな気分にならば,凡そにぎり××(ペニス)にて、早速に先に出かけて小便するふりにて立ちどまり、首を横へむけてその女の顔かたち、とりわけ股ぐらの窪みへ目をうつし、スカリ、スカリとかくべし』

「前坂俊之オフィシャルウェブサイト 地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える」より


ところで「過激にして愛嬌あり」宮武外骨は、ここんとこ反権力関係のインテリに、その「過激」のみとりあげられること多い人物でもあります

いまYou Tubeで見られる「知ってるつもり」宮武外骨特集の副題は「命がけで真実を追究したジャーナリスト
オリバー・ストーンの映画じゃあるまいし だいたい親孝行とか彼の仕事とどう関係あるの

こと我が国の近代に「反骨」「反官僚」を旨とするジャーナリストなんざ掃いて捨てるほど居るなかで、

いまなお外骨が取り沙汰されるゆえんはその「愛嬌」、

人の本性原理に必ず立ち戻る姿勢、目を奪う大胆な編集力、江戸の黄表紙洒落滑稽本を継いだ諧謔味でありましょう

お色気、判じ物、江戸情緒 余技付録としてあらわされた色とりどりの「滑稽新聞」絵葉書はどれをとっても愛嬌たっぷり

View of Woman from Below (Sokumenkan) from Ehagaki sekaiHow to Catch Kappa (Kappa o tsuru hoho) from Ehagaki sekai

【左:足の裏から見た美人】 【右:尻子玉を餌の河童釣】

Dream of Getting Money in Street (Kane wo hiouta yume) from Ehagaki sekaiUnreliable Weather Forecasting (Ateninaranu tenki yoho) from Ehagaki sekai It is Already Full with One Person on Board (Hitori de manin) from Ehagaki sekai

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宮武外骨の人物像、Wikipediaの他には「日本風狂人伝」が詳しいです

面白半分 (河出文庫)
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*ネットで公開されてる外骨本

まずオススメしたいのは「通俗心理奇問正答


「失敗したとき頭を掻くのは何で」「近親結婚なぜまずい」「野蛮人が赤色を好むわけ」

「縦書き和文数字は一二三と横並び、横書き欧数字はⅠⅡⅢの縦並び 何故」「便所に猥褻落書きをする心理」等々

外骨の奇問珍問に心理学者、高島”蜻洲”平三郎が答える肩のこらない読物 大正七年発行
なかでも可笑しいのは「美醜の標的と裸體女」の項


○若い女が変死すると、新聞はたいてい「美人の轢死」「美人の投身」と書くけどアレ怪しい
 どんな悪人でも死ねば苦悶の相は消え、穏やかな顔に変わる ブスも同様、死に顔は比較的美しい

○女を美と愛の権化と思い込む者が、若い女の変死ときいて美人と決め付ける心理は
 必ずしも新聞屋の挑発扇動のゆえとはいえず、死者への手向け同情の面もあるだろう

○品川で女の首無し死体があがったときに「首無美人の死体漂着!!」と題した新聞が物笑いになった

◎しかし首がなくても肌手足胴体が綺麗なら美人といっていいのでは
 牛馬ならその肌毛並み、鳥なら羽の色艶で、つまり美醜は全体像で決まる 美の基準を顔面に限るのはひとり人間のみ なぜか

◎これは人類が衣服を着るようになってからではないだろうか

裸体を恥じない原始人は鳥獣と同じく相手の肌艶や肉付きを尊んで全体格を美とみなしたろう
現にアメリカに住む蛮人には、女の乳房や尻の大小を美醜の基準とするものがいるという

能のない芸人物書きがいま同じ題材を扱ったとしても、○で止まって◎に及ばない

原理に立ち戻って考えている、その雑談のおもしろさ

宮武外骨の編著本、他には見づらい探しづらいで有名な近代デジタルライブラリーでげんざい20冊が読める→[著者=“外骨”]で検索

Googleブックで全文読めるのは5冊+「變態知識



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「好きになった」メモ: ネットの長文をワン・クリックで速く読む方法

2010年7月8日木曜日

殺人記念品(マーダービリア)アート?それとも被害者いじめ?



<上の画像はチャールズ・マンソンの髪の毛で作られた「ハンギング・マン」 指印付き1800ドル via Serial Killer Central



以下殺人記念品(マーダービリア)アート?それとも被害者いじめ?を翻訳したい

米AOLニュース2010年2月に掲載された記事 筆者はDavid Lohr 原文


部屋を飾るため、美術品や記念品を買う人たちがいる。それらを投資の対象とする人たちも。
同様に、「murderabilia (マーダービリア)」として知られる特殊なアート市場にも、
アーティストとコレクターを仲介する業者が関わっている。
ふつうのアート市場との違いは、作品を産み出す作家達がたいていは刑務所の中にいることだ。
われらの時代のもっとも残忍、かつ病的な罪を犯したかどで。



<「ゲインズビルの殺人鬼」ダニー・ローリングが死刑執行寸前に描いた絵 >


ピカソの版画はたとえば10万ドルをくだらない。ルー・ ゲーリッグのサイン入りボールはおよそ1万ドルだ。
代わりにゲインズビルの殺人鬼ダニー・ローリングの描いた絵ならどうだろう?2千ドルで手に入る。
もしお気に召さなければ、チャールズ・マンソンのサイン入り運転免許証の写しは375ドル。
売り文句によれば「額装にぴったり!」

犯罪被害者とその支援者たちからの販売差し止め運動をよそに、マーダービリアの売上は近年に増した。
五指にあまる仲介業者たちが、その手のアイテムを数百もインターネットで広告している。




ロ サンジェルスのserialkillersink.netは連続殺人犯の記念品販売の分野で最高売上を誇るサイトのひとつだ。
サイト管理者はEric Gain。彼のこのゾッとしない趣味は、本人曰く15年前から始まったという。

「悪名高いシリアル・キラーに手紙を書きはじめた」 GainはAOLニュースに語る。「はじめは取材しようと思っていた」
「すぐに、ほんとうは本を書きたいわけじゃない、と気づいたよ。少なくとも、今のところはね」
「彼らと僕が築いた信頼。頑張って得たこの絆を大事にしたいと思った」



Eric GainのFacebookより>


4 年ほど前から、Gainは彼の趣味をビジネスに活かしている。
「僕らの業務は単純に、若干の需要が見込めるであろう市場への供給だ」とGain。

「しじゅうテレビを賑わせている連続殺人犯たちが実際に残した作品や記念品を手元に持っていれば、
Investigation Discovery(人気犯罪実録番組)なんて見る必要はない。

言わせてもらえば、TVドキュメンタリーや犯罪実録本にくらべて、
連続殺人犯が自から残した物品の方が、彼らの内面をより正確に物語っていると思う」



<ショッ トガンを構えるEric Gain 詳細なインタビューはBeyond The Dark Horizonに


10年以上にわたって、こういった「醜悪かつ卑劣な」商売を差し止めようと闘っているのは
強固なマーダービリア反対派であり、ヒューストン犯罪被害者の支援活動家、Andy Kahanだ。

「愛する誰かを殺した者にまつわる物品が、第三者によって、金儲けのためだけに売りまくられている。
犯罪被害者にしてみれば、これは吐き気と嫌悪以外の何ものをも引き起こさない事態だ」AOLニュースにKahanは語った。

「私は、政府の不干渉を旨とする自由企業の理念と、資本主義とを固く信じている」
「しかし強盗や強姦、殺人をしてはならないはずだ―翻って、そこから利益を出してはならない」



Bravo Awardより 星条旗を背にしたAndy Kahan>


Kahanがマーダービリア販売反対運動に関わるようになったのは1999年、
収監中のNY連続殺人犯自作の絵をeBayで売出したことが矯正局に発覚し、
特権を剥奪されたという記事を読んだのがきっかけだ。

「世界最大のオークションサイト、eBayで検索すると、
その手のアイテムが結局、数百も見つかった―シリアル・キラーの手紙から絵画までね」とKahan。
「たぶん多くの人と同じように、私も、この商売は違法に決まっていると考えた。
ありえないだろ?最悪の犯罪から、誰かが何がしかの収入を得られるなんて」

だがeBay広報部に連絡したKahanは実態を思い知ることになる。

「取引が合法である以上、eBayは道徳的にマーダービリアを取締れない。
出品物がいくら気に入らなかろうと、彼らは出品依頼を受ける義務がある。何とかしなくちゃ」

そこで彼は商品を自ら購入し、自らの手で破棄するようになった。

「連続殺人犯の髪だの爪だの服。彼らの描いた性的な、ポルノまがいの絵。何でもありだ」Kahanは付け加える。
「いくつかは捨てずに取ってある。のちの担当官への陳情の場で、私の説得力を大幅に上げるためにね」



スティーブン・キング「IT」のモデル ジョ ン・ゲイシーの髑髏絵 YuppiePunkよ り>


2001年、eBayは以後マーダービリアを扱わないと発表した。
更新された「不快品禁止規定」には
「重大な暴力行為による有罪判決をくだされたユーザーが、その悪名から利益を得ようとした場合
(たとえ他者を通しても)ユーザーリストを削除し、アカウントを停止する」と追記された。

だがマーダービリア業者たちに動揺はない。それなら自身でオンライン・ショップを立ち上げるまでだ。
Kahan の闘いは結果として立法府へと及ぶ。

「彼らを出し抜く法律をつくりはじめた。現在8つの州で新法が通過している。いわゆる「悪名利潤禁止法」だ」
しかし州をまたいだ商取引に州法は及ばない。連邦法を改定しなければ。

Kahanはテキサス上院議員John Cornynと共に、マーダービリア販売禁止法案1528条を作成する。

この法案は囚人に利潤をもたらす物品の郵便配送をアメリカ全土で禁ずるというもの。
当初、下院議員Dave Reichertに取り上げられたが以後進展がない。

「公聴会ひとつ開かれない。理解出来ないよ。意見調整の機会すら与えられないんだ」とKahan。
「はっきりいおう。理由は民主党の支持が得られないこと、それで膠着状態さ」

マーダービリア販売禁止法は目下「瀕死の状態」だ、とKahanは語った。



<「コー スト・トゥ・コースト・キラー」Tommy Lynn Sells作 manson family picnicより >

 
いっぽう、Gainは彼の商品が何故 Kahanらをこれほど怒らせるのかわからない。

「セレブやスポーツ選手なんかのサインを集めるのと同じだよ」とGain。
「彼らへの批判さえ、さらなる作品制作への原動力になりうる 」

「もし、連続殺人犯が絶対に二度と刑務所から出られない、と安心したいなら、
仮釈放の日程前に審査委員会に手紙を書くことだ」

「被害者家族達には同情する。でも同時に、法に則った商売を営む権利が僕にはあるんだよ・・。
あくまで僕らの利益のために。受刑者のためじゃない」



マーダービリアのコレクター、Joe HilesもGainに賛成だ。
Joeはシリアル・キラーの専門サイト、skcentral.comの管理人でもある。

「僕がこういった物を集めるのは、これらを歴史の証言と見ているからだ」とJoe Hiles。

「病的で陰惨な歴史かもしれない。それでもなお、これは歴史なんだ。
半世紀後、人々はAnthony Sowellという名を聞くとクリーブランドの、
David BerkowitzといえばNYの歴史を思い出すだろう。
もちろん、ただ古きよき日々としてでなく。でも、それだって歴史なのさ」



<「パリの吸血鬼」Nicolas Clauxが己の血で綴った色紙「アイ・ヘイト・ピープル」 
仮釈放成って現在はシリアル・キラー・カレンダーの作者として有名

MURDERAUCTION.COMより


以下余談



上の動画「Murderabilia Pt 1 」 で
Kahan(とスタジオにいる全員)に「歴史の証言」コレクターJoe Hilesがとっちめられているところが見られる
叩く側叩かれる側 顔つき物腰あまりに典型的で嬉しくなっちゃう公開リンチ映像であります その2



*TVでゲストを「変態」と呼んで憚らない司会者はJohn Walsh
ちょっと「おもいッきりテレビ」みのもんたを思わせる 世界的にはWalshのほうがずっと有名でしょう
高圧的な彼の態度にはワケがある その因縁を以下かんたんに解説する 詳しくはアメリカTV/映画ノーツを参照のこと



momlogicより John Walsh


John Walshはもとフロリダでホテル経営をしていた富裕層 
1981年、36歳のときにショッピングモールで息子(8歳)を誘拐されてしまう

シアーズのゲーム売り場で7分間目を離したすきに消え失せた愛児の頭は2週間後、浜辺で見つかった
体の残りは見つからなかった




Hyaena Galleryより Ottis Toole

罪のない8つの子をさらって首を斬り落とした、と自白した男はOttis Toole 数件の殺人放火容疑で収監中の身 
だが、のちに証言を覆し捜査を混乱させ「容疑者」のまま肝臓を病んで獄中死した

フロリダ警察はTooleの死後かれを犯人と断定し、初動捜査の遅れを謝罪した 2008年 犯行からじつに27年後だ
(Tooleの絵も勿論マーダービリアとして売られている いくつかはFlickr でも見られるよ



全米一有名になってしまった被害者の親、John Walshは虐待行方不明児問題に取り組むNPOでも知られるようになる
息子の悲劇をもとに撮られた2本のTV映画NCMEC(全米行方不明/被搾取児童センター)の理事就任、
ついにはホワイトハウスの招待を受けるところまで昇りつめる
(NCMECの活動はアンバーアラート児童ポルノ法関連で御存知の読者もいるでしょう)

88年、WalshはFOXテレビ「America's Most Wanted」の司会に抜擢された
TV越しに視聴者と連携し、現在逃走中の犯罪者を追いつめるという企画が当たって今も続くFOX最長寿看板番組
この番組の情報提供によって捕まった逃走犯は2010年7月の時点で1121人という



*ところでFOXテレビといえば共和党寄り保守層扇動で悪名高い会社 (参考ドキュメンタリー「OutfoxedYou Tube日本語版全編
こと「表現の自由」に関しては、リベラルの多いネット・ユーザーと水が合わない 

さいごに、彼らマーダービリア擁護派からJohn Walshへの批判を紹介したい Wikipediaの頁頭に記されている文より

「FOX テレビが協賛し、Walshその人が共同経営者であるところの国立犯罪・刑罰博物館のアトラクションでは
元祖シリアル・キラーテッド・バンディのワーゲンを飾り、
殺人ピエロジョン・ゲイシーの人形と遺品を並べて客を呼んでいる
入場料は相場より高め おとな18ドルこども15ドル 
それってマーダービリアとどう違う?」


*アマゾンは僕から超おすすめのシリアル・キラー・ストーリー
(ところでこの記事に貼られたアフィリエイト、マーダービリアとどう違う)

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