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2008年5月22日木曜日

憎しみを忘れない























Tune Andersen 2006年 「The Boxer」 via All Tomorrow’s Girls



 「メメント」って映画おもしろかった 妻を殺された主人公が脳障害を負っていて、10分くらいの短い記憶しか保てない だから己の体のあらゆる箇所に、憎き仇の手がかり「犯人は白人」とか、車のナンバーを入れ墨するの フィリップ・K・ディックっぽいアイディア 

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 ジャンキーの頭の中って、こんな感じかしら きのう何食った?どの服着てた?、からはじまって、通帳どこにしまったか、どこに車をとめたか思い出せない このへんだと思ったけどなぁ・・・


 
 小さなパニックも日常になってしまえば人格は変わる 一番はじめに失うのは己を管理統括しようとする意志じゃないか 

 掃除きらいな人の言う「どーせ片付けたってまた汚れるじゃん」生きるってことは始終脳の中で掃除してるみたいなもんだから、いくら綺麗にしたところで、10分ごとに散らかっちゃったらやる気なくすよなー でもその、やる気問題じたい、10分ごとに忘れてたら落ち込まないのか


 
 こないだ聞いた禁煙法 煙草やめたい人は、アアーたばこ吸いてぇ、というその瞬間、3分間だけ我慢するんだって おあずけの習慣をつけるべし やってみるとわかるけど、喫煙の欲望は3分持たない あれだけニコチンが欲しいヤニが欲しい、と願った180秒後、フト我に返ると君は別のことを考えてる 叶姉妹ってつまり何なんだ、とか、そういうこと 

 うつろう気持ちがうつろう前に 3分で消える欲望をつかまえるには、今すぐ何かに書き留めなくちゃなんない 「メメント」の主人公みたいに心に入れ墨しなきゃ忘れちゃう 鼻歌のように消えていく


  
 友達の話 はじめて彼女の部屋に行ったら、壁にでっかく「憎むことを忘れるな」と張り紙があった ナニ?「うわああああ見ないで!見ないで!いまかたづけるから!」 



 映画「悪い奴ほどよく眠る」で復讐の鬼と化した三船敏郎は、父親の自殺写真を肌身離さず持ち歩く 一生懸命写真を見ている 敵の犠牲となった父の無残な最期を、時々こうして確かめないと憎しみが薄れてしまう 自分の生きる理由がなくなってしまう かれは眠らない人なんだ 忘れる己が許せない人

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 十年二十年まえの自分が書いたノートやなんか いま読み返すとガクゼンとするよな 醜い奴らには反吐が出る、でも俺は吠えるばかりの無力なカカシさ、などと書いてあって意味不明

 忘れないように、と書き留めた思いが後の自分に届かない いま俺が書いてるこの文も同じだろう 


 
 「メメント」「悪い奴ほど」の主人公も、友人の彼女も、「憎しみを忘れないように」己を励ます人たちだ 生きるとは無情な世間と闘うこと 復讐こそが彼らの動機だ 大げさに言えば、若き自分もそうだったのかもしれない   

 「30歳以上は信じるな」「永久革命」の60年代、学生運動の中心で体制転覆を唱えていた活動家の英雄は、いま年老いて「年金があてにならない」と洩らす

「若いうちに工場を始めてりゃあ、もっともうけられた」

 あてにならないのは年金だけじゃない うつろう自分の欲望も同じだ 
 きょうび、憎きカタキを持ち続けることは誰にとっても難しい



信じる心

WEBで読める「ドグラ・マグラ」&「暗闇のスキャナー」&You Tube統合失調症シミュレーション映像

鴨長明 方丈記

【さらば革命的世代】(3)秋田明大「まだ何もしていない」 (1/4ページ) - MSN産経ニュース

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