ある編集者には、「この作品を発表してしまうと、松永さん、あなたはもう漫画を出せなくなるかもしれませんよ」とも言われた。業界から干される、という 意味だ。でも僕は、「全然かまわない」と言った。なぜならば、この自伝的小説作品を書いていた三年のあいだ、どこの漫画出版社からも依頼が来なかったから だ。とうに僕は、見捨てられているのだ。 |
via 鳩メモ
「バクネヤング」漫画好きなら知っていると思いますが、緻密な描写で破天荒な暴力をえがいたカルト作品 作者松永豊和は「ナニワ金融道」青木雄二のアシスタント出身で、「漫画家なのにもとヤンキー」って噂だった
バクネヤング
著者: 松永 豊和
「バクネヤング」の、特に前半が異様なのは、ヤクザの親分を大阪城に監禁し、100兆円の身代金を要求する主人公が大量殺人鬼で かれを追うものは容赦なく犠牲になる、それら全てが痛快エンターテインメントとして描かれているところ
げんざい大衆相手の娯楽作品 たとえばハリウッド映画で殺されるのはゾンビかテロリストか宇宙人 「義もなく殺していい相手」は注意深く選ばれているけれど、しかし「バクネヤング」の主人公は刺して奪って爆破しまくる 驚くべきスピードで荒唐無稽を遊んでいるふしがあって、この漫画家いったい何者だろう、と思っていた
その作者、松永豊和の自伝的小説が、この5月から「邪宗まんが道」としてネットで全編読める もの凄い内容です 実際のマンガを知らないかたも是非
長時間に渡る水掛け論や押し問答の末、僕は、 |
漫画の神に選ばれてしまった者ゆえのオリジナリティへの拘り、保身と出世しか見えない相手、編集者たちへの(被害妄想ギリギリの)苛立ち 先達雨木傘二(青木雄二か)の怪物ぶり アシスタントへのセクハラに 優越感と劣等感ドロドロの己と他人の業の重さに、圧倒されつつも読後感がさわやかなのは何故
Web小説松永豊和「邪宗まんが道」が、単なる業界内幕スキャンダルもので終わらないのは、作家の観察眼ゆえでしょう 有志の出版社を探しているそうです
ところで「バクネヤング」(まんが邪宗門では『金色の怪人・チルチルミチル』)は1993年からヤングサンデー(ヤングサーズデー)で4年間の連載でしょう 4年後の97年に同誌ではじまるのが新井英樹(新山ダイゾー)の「ザ・ワールド・イズ・マイン」(『俺様の三千大千世界』)
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン
著者: 新井 英樹; 新品 ¥1,344
この2作と山本英夫の傑作「殺し屋1」が載っていた90年代後半のヤングサンデーは凄かったんだなホント
殺し屋1
著者: 山本 英夫; 新品 ¥510
あの松永豊和は今
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