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2010年8月9日月曜日

ネットで見られる明治のシュール画像 宮武外骨「滑稽新聞」絵葉書集&電子書籍集

まえにtwitterで反響がおおきかった ブログにも書いとこう

*宮武外骨「滑稽新聞」絵葉書500枚強が ボストン美術館のサイトでハイ・クオリティ閲覧可能になってるよ

美術館の検索結果からは大画像までいちいち手間がかかる(そのかわり細部まで見られるけど) ので以下まとめ

*ダウンロード用絵葉書詰め合わせzip (2つ) *mediafile(1つ 同内容 Click here to start downloadをクリック)


Ehagaki sekai, Vol. 13*これは何?という読者へ

ネットに溢れるコラージュパロディエログロナンセンスのおもしろ図版ネタ画像、 100年まえのアレと思えば間違いないです 描いた絵師もわからなかったりするし

企画編者は「滑稽新聞」主宰宮武外骨 洒落と風刺と反骨で世に聞こえた畸人ジャーナリスト

縦読みAA(アスキーアート)シュルレアリスム、表現弾圧を盾に取った表現手法から最近じゃ「元祖2ちゃんねらー」言われてるらしい



「宮武外骨のプロデュースした雑誌の中に、『滑稽新聞』に次ぐヒットを飛ばした『絵葉書世界』がある。 絵葉書ブームに商売の可能性を見出だし、別冊定期増刊として明治40年に『絵葉書世界』を創刊した。

各号が風俗・世相諷刺漫画やエログロ・ナンセンス調、江戸劇画調、外国漫画などバラエティー富んだ多色刷りのイラストが、63×93cmの八つ折りされた厚紙に印刷されていた。 2年間に渡り毎月発刊され、26集販売されたこの雑誌は、見るだけで十分楽しめるうえ、全てのイラストを切り離して30枚の絵葉書として使えるようになっていた。 一部14銭という手頃な値段と絵葉書ブームによって、大成功を収めたのである。

また全部で780種ある絵葉書は、竹久夢二といった既に成功を収めていた有名作家や、米野白水、墨池亭黒坊といった無名作家の協力によって支えられていた。」
「絵葉書世界」より 図版


自分が外骨を知ったのはかれ再評価の先駆けとなった「学術小説 外骨という人がいた!
学術小説 外骨という人がいた! (ちくま文庫)
学術小説 外骨という人がいた! (ちくま文庫)赤瀬川 原平

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*滑稽新聞どんな新聞

たとえば明治37年、日露開戦直後の1a検閲自主規制の風潮下に訴えていわく



「秘密外の○○
(○○論○○記)
今の○○軍○○事○当○○局○○○者は○○○○つ○ま○ら○ぬ○○事までも秘密○○秘密○○○と○○○云(い)ふ○○て○○○○新聞に○○○書○か○さぬ○○事に○して○○居るから○○○新聞屋○○は○○○○聴いた○○○事を○○○載せ○○○○られ○○得ず○○して○○丸々○○○づくし○の記事なども ○○○○多い○○○

是は○○つまり○○○当局者の○○○○○尻の○○穴の○○狭い○はなしで度胸が○○○無さ○○○過ぎる○○○○様○○○○だ

我輩○○が○○○思ふ○○○○には○○○○○軍○は○○元来○○○野蛮○○○○ な○○○○○事で○○○○○○あるから○○その○○○軍備○○○を○○○秘密○○にし○○○○て○○○敵○○○○の○○○○不意○○を○○○うつ○○○○ の○○も○○○○あな○○○○がち○○咎む○○○○べき○事○○○○○で○○○は○○ないが○それ○○○よりも○○○○門○戸○開○放○○の○○○○露 ○○○○○骨○○○主○○○義○○○○で○○○○○おれは○○○○○斯く○○○○斯く○の○○手段○○○○○○で○○○○○大きに○○うぬ○○ら○○○を ○○○○○○たヽき○○○○潰す○○○つもりだ○○○○○サー○○コイ○○○と正々○○○○堂々○○○○と○○○○○○進軍○○○○する○○○方○○が ○○男○○○らし○○○○○い○○○○様だ○○○○○」

「宮武外骨」より 画像は「天野祐吉のあんころじい」より

asahi.com-洒落っ気にしびれた 日本人脈記

伏字が伏字になってない


また、もとは怪しい薬売から出資金詐欺で身を立てて大阪市会議員となった実在の有力者、

野口茂平をズバリ「詐欺師」と紙面で斬首、その首を毎号毎号晒したりとやりたい放題

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宮武外骨 - 写真共有サイト「フォト蔵」より



とうぜん筆禍訴訟や発行停止は日常茶飯事 外骨そもそも23歳初入獄の逸話からして可笑しい このひとぜんぜん反省してない

後年、獄中で「何をしていましたか」と聞かれた外骨は「せんずりばかりをやっていました。せんずりでもやらぬと体が保ちませんよ」とケムにまいたが、人一倍の精力を持て余した外骨はマスターベーションしているうちに、研究熱心からいろいろな方法をあみ出した。

転んでもタダでは起きない外骨流がここでも発揮され、出獄後に『千摺(せんずり)考』として出版し、大評判となった。「ざこね千摺」「尻堀り千摺」「コンニャク千摺り」など四十八手を考え出して、千摺百科を紹介した。

『往来の千摺には二つあり。その一つは、途中であった女の美しさに淫心を起こして、ひそかにへのこ(ペニス)をかきて、独楽を試みる。また一つは道路の雪隠(トイレ)などに入り、往来をのぞき、通りかかる女の姿に目をとめて、千摺をかくのがコツなり』『女のあとをつけ、二,三町従いゆき、右の手を懐中に入れ、得手もの(ペニス)をひねくべし・・・、先のべっぴんの後姿を見ることゆえ、得てのもの造作なく、気をもちおーやけいづ(勃起してくる)』

『かくしてようよう気のいきそうな気分にならば,凡そにぎり××(ペニス)にて、早速に先に出かけて小便するふりにて立ちどまり、首を横へむけてその女の顔かたち、とりわけ股ぐらの窪みへ目をうつし、スカリ、スカリとかくべし』

「前坂俊之オフィシャルウェブサイト 地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える」より


ところで「過激にして愛嬌あり」宮武外骨は、ここんとこ反権力関係のインテリに、その「過激」のみとりあげられること多い人物でもあります

いまYou Tubeで見られる「知ってるつもり」宮武外骨特集の副題は「命がけで真実を追究したジャーナリスト
オリバー・ストーンの映画じゃあるまいし だいたい親孝行とか彼の仕事とどう関係あるの

こと我が国の近代に「反骨」「反官僚」を旨とするジャーナリストなんざ掃いて捨てるほど居るなかで、

いまなお外骨が取り沙汰されるゆえんはその「愛嬌」、

人の本性原理に必ず立ち戻る姿勢、目を奪う大胆な編集力、江戸の黄表紙洒落滑稽本を継いだ諧謔味でありましょう

お色気、判じ物、江戸情緒 余技付録としてあらわされた色とりどりの「滑稽新聞」絵葉書はどれをとっても愛嬌たっぷり

View of Woman from Below (Sokumenkan) from Ehagaki sekaiHow to Catch Kappa (Kappa o tsuru hoho) from Ehagaki sekai

【左:足の裏から見た美人】 【右:尻子玉を餌の河童釣】

Dream of Getting Money in Street (Kane wo hiouta yume) from Ehagaki sekaiUnreliable Weather Forecasting (Ateninaranu tenki yoho) from Ehagaki sekai It is Already Full with One Person on Board (Hitori de manin) from Ehagaki sekai

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宮武外骨の人物像、Wikipediaの他には「日本風狂人伝」が詳しいです

面白半分 (河出文庫)
面白半分 (河出文庫)宮武 外骨,吉野 孝雄

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5つ星のうち4.0外骨先生、あっぱれ。
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稽漫画館 (河出文庫)
滑稽漫画館 (河出文庫)宮武 外骨,吉野 孝雄

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5つ星のうち5.0宮武外骨を知らないか


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*ネットで公開されてる外骨本

まずオススメしたいのは「通俗心理奇問正答


「失敗したとき頭を掻くのは何で」「近親結婚なぜまずい」「野蛮人が赤色を好むわけ」

「縦書き和文数字は一二三と横並び、横書き欧数字はⅠⅡⅢの縦並び 何故」「便所に猥褻落書きをする心理」等々

外骨の奇問珍問に心理学者、高島”蜻洲”平三郎が答える肩のこらない読物 大正七年発行
なかでも可笑しいのは「美醜の標的と裸體女」の項


○若い女が変死すると、新聞はたいてい「美人の轢死」「美人の投身」と書くけどアレ怪しい
 どんな悪人でも死ねば苦悶の相は消え、穏やかな顔に変わる ブスも同様、死に顔は比較的美しい

○女を美と愛の権化と思い込む者が、若い女の変死ときいて美人と決め付ける心理は
 必ずしも新聞屋の挑発扇動のゆえとはいえず、死者への手向け同情の面もあるだろう

○品川で女の首無し死体があがったときに「首無美人の死体漂着!!」と題した新聞が物笑いになった

◎しかし首がなくても肌手足胴体が綺麗なら美人といっていいのでは
 牛馬ならその肌毛並み、鳥なら羽の色艶で、つまり美醜は全体像で決まる 美の基準を顔面に限るのはひとり人間のみ なぜか

◎これは人類が衣服を着るようになってからではないだろうか

裸体を恥じない原始人は鳥獣と同じく相手の肌艶や肉付きを尊んで全体格を美とみなしたろう
現にアメリカに住む蛮人には、女の乳房や尻の大小を美醜の基準とするものがいるという

能のない芸人物書きがいま同じ題材を扱ったとしても、○で止まって◎に及ばない

原理に立ち戻って考えている、その雑談のおもしろさ

宮武外骨の編著本、他には見づらい探しづらいで有名な近代デジタルライブラリーでげんざい20冊が読める→[著者=“外骨”]で検索

Googleブックで全文読めるのは5冊+「變態知識



猥褻風俗辞典 (河出文庫)
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